信じられるものなんて、自分だけだと思っていた。
昔の自分は、独りにされたんだ。
理由なんて、わからない。
聞きたくても聞けなくて聞けたとしても昔の事なんてどうでもよくて…昔、起きた事実は変えられない。
そんな中でも、幸せだと感じた時もあった。
けれど、そんな優しささえ本心からは信じられなくて……
それでも、恩は感じてたんだろうな。
俺は、どんな手段であってもその人を守りたかっただけなんだ。
何も出来ない子供だった俺には、逃げることしか出来なかったけれど…。
独りで生きていかなければ。
負ける事だけは…死ぬのだけは…絶対したくない。
はじめて声をかけてきた女。
俺は、容姿が売れるんだと知って、なんでもやった。
相手の要求通りにしていれば可愛がって貰えた。それでもそこに愛は感じない。
虚しいだけ。
だから、俺が貰った想いは絶対誰にも渡さない。この想いはあの人が俺だけにくれたものだから。
相手に与えるのは偽りの感情。
俺の見た目だけしか愛さない奴なんて、言葉でいくら全部好きなんて言われようと信じない。
結局、飽きたら捨てるんだろ?
そんなのごめんだ。
それなら俺から捨ててやる。
俺は、俺の為に生き延びるだけ。
そんな事が当たり前になっていた。
俺には、俺の愛するPC端末と電脳世界だけでいい。
彼女達は俺を純粋に愛してくれる。
だから、俺も大事にする。
人間のように裏なんて無い。
純粋な想いを俺にくれる。
それだけで、満足だった。
周りから奇異な目で見られようと周りなんて関係ない。
寂しさなんて遠くの昔に棄てた。
心の奥底にすらない。
でも、アンタには俺の世界を変える何かを感じたんだよ。
最初は判らなかった。
だって、そんな感情、感じた事なかった。
誰にも与えられなかった。
気になるけど、何と言えない。
恋だと気づいたのは、興味から行動に出てしまった時。
無意識で、気づいた俺もなんでそんな事したのかわかんない。
よくわからなくて…
それでも、触りたいって思って、
触れる度、ドキドキした。
好きなんだって、いつからか気づいた。
でも、恋なんて知らない。
どうしたらいいのか、そんな簡単な事が判らない。
本当に信じていいのかも。
俺が知ってるのは【愛し合う行為】と【愛され方】だけ。
アンタは他と違うのか、なんてよくわからなかった。
だって、俺は俺がしたいように、アンタが望む事をしてきただけだもん。
それが、アンタにとってはどうであれ、俺が感じて見てきたアンタの要求。
でも、俺には本当にアンタが望む事はわからないよ。
何も言われないまま、それが正解なんて判るはずがないんだから。
それでも……
俺は俺なりの正解を出してきたつもりだよ?