八匹目


シャルとフィンクスが言い合っているので
広場はいつもより煩かった。

マチが盗ってきてくれたビールを飲みながら
携帯の画面を見ていたが
シャルがそれを取り上げる。


お前も他人事じゃないんだからさ!


シャルから携帯を奪い返し
私はまた座り直した。


いいよたった1億ジェニー。
いらないよ。


ちげえよ!
そもそも俺は賭けに負けちゃいねぇんだ!

フェイタンがあの女にマジで惚れてた場合だろ?!


2人は永遠に言い合っていればいい、と思い
帰ろうと立ち上がると
パクと話していたフェイタンも気付いたようで付いてきた。




いつもは聞かないが
なんとなくラジオをかけてみる。


時刻は23時になりました。
皆様、良い夜をお過ごしください。
最後に、この曲をお送りします。
ペンネーム TSさんよりリクエストの
ムーンライトムーン



軽快なジャズを聴きながら
高速道路を走るのは悪くなかった。


少しの酔いが手伝って
私はラジオの曲に合わせて鼻歌を歌う。




団員全員に触れたのか?


フェイタンは呟くようにそう言った。


会えたメンバーはね。


フェイタンはフン、と小さく鼻を鳴らす。


良かたな。
蜘蛛にユダがいないと知れて満足か?


私はそれには答えず
ウッドベースの温かいソロに耳を傾けた。
スネアドラムをブラシで擦る音が
幻想的な雰囲気を醸し出している。


オマエ、わざとワタシを挑発したね。
ワタシがオマエに触れるように。


窓を開けて、夜風に当たる。
元来、風に当たるのが好きなのだ。


ムーンライトムーン、悪くない曲だった。













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