四匹目

夜中にフェイタンの電話が鳴った。


床から起き上がって、ベランダに出て行くフェイタンの後ろ姿をぼんやり見ていた。

下半身は厚手のタイパンツを履いているが
上半身は何も纏っていなかったので
さすがに外は寒いだろう、と思ったが

私に気を遣ったのだろうか。


念のため私もベットから身を起こし
枕元の明かりをつけておいた。


フェイタンが戻ってきたのは30分後だった。



なんだって?


私は電子タバコの煙を吐き出しながら
問いかけた。


パクノダが戻てきたね。


ふうん。

で、聞いたの?


フェイは空気清浄機の電源を入れた。
起動を知らせる音が鳴る。


聞いだようだが
具体的なことは何もわからないらしいね。


何もわからない?


フェイタンは床に座ってあぐらをかき
毛布を拾って肩からかけた。


裏で糸を引いている人物、というワードには
引かからない。
何度か質問を変えてみたがダメだと言ていた。

本拠地にどうやて辿り着いたか、については
具体的なイメージが浮かばないそうね。

何故ワタシたちを知ているかだが

漫画本、と言ていたよ。



フェイタンは眉間に皺を寄せて私を見た。


私は返答に困り
ただフェイを見つめ返すに留めた。





団長が好きそうな話だね。それ。


翌日、広場にはボノレノフとフランクリン、パクノダも加わって賑やかだった。

フランクリンの言う、パラレルワールドという話に
団員の反応は様々だった。


フィンクスはくだらねえ、と鼻を鳴らし
意外なことにウヴォーは興味深げに頷いていた。


私も聞いたことがあるよ。


マチは腕を組んで廃材に座っている。
今日はジーンズ生地のサルエルを着ていて
マチによく似合っていた。


並行世界って
神隠しに遭った人間が証言しているケースが多いんだ。

自分が今までいた世界と、同じようで違うか
全く違うかのどちらかで
彼らは大抵の場合、移動した並行世界には馴染めてない。


よくわからねぇな。

ノブナガは髪を結び直しながらマチを見た。

同じようで違うってのは
どう言う意味だ?


色んなケースがあるけど
例えば殆ど同じ世界なのに
あるべき場所に自分の家族が存在していない、とか
自分が存在しないことになっている、とか。

逆に、全く違う世界っていうのは
世界そのものが今までいた世界と違うんだ。
文化や景色、世界の地形、国の名前、言語まで。

人によって証言が違うということは
並行世界が複数あるってことだと思う。


何人かが笑った。
私も正直、その手の話は信じないほうだった。


シャルは電脳ページをめくる手を止め
マチに向き直る。


もし、その世界とやらが本当にあるとしたら
実際利用価値はあると思うよ。

俺たちが自由にその世界を出入りできるようになるとしたら
稼げる金は莫大だ。


フィンクスはまた、くだらねえ、と呟いた。
ノブナガは顔をしかめたままだった。



広場の入り口にもたれかかっていたコルトピが
外を振り返る。



団長が来たよ。






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -