しーくれっとみっしょん



かなり歩いてから
フェイタンは不自然に積まれた鉄骨の山の中に
入っていった。

近づいてよく見ると
人が1人入れるくらいの穴がぽっかりと開いている。

フィンクスは身を捩らせてそこに入り
私達もあとに続いた。


ランプの灯を確認する。

それは私が生まれて初めて見た火だった。


それを囲むように
数人が座っている。


囲まれた瓦礫の上には空に続く
大きな穴がぽっかりと開いていた。


よく来たな。


誰かがそう言った。


姿は見えない。
誰が発言したのかもわからなかった。


俺は、クロロ=ルシルフルだ。


声の主と目が合った瞬間、
私は突然怖くなって
逃げ出そうと踵を返した。


俺たちはお前と

お前の相棒を殺したりはしない。


その声は言う。



俺たちと


組まないか?







フィンクスは夕焼けの中を歩きながら
ただ黙っていた。


私もなんとなく話しかけてはいけない気がして
鉄釘が足の裏に刺さった時も
悲鳴一つあげなかった。



クロロと名乗る男は
私達にこう話した。


俺たちは1人では生きていけない。

だから、まとまって一つになるんだ。


俺は知っている。


この世の全員を殺せるくらいの力が存在することを。

それは俺の持っているビデオテープに
全て納められている。

俺はそれを知っている。


お前たちにもそれを教えよう。


代わりに、お前たちの全てを
ここにいる全員に差し出せ。


そうすれば、ここにいる全員は
俺も含めて
お前たちに全てを差し出すだろう。


1人では全員が死ぬ。


だが、全員では


全員が生きる。



姿も形も見えない相手を信用するには
情報が少なかった。


ビデオテープというものが何なのか分からなかったし
この世の全員を殺せる力というのも
あまりに胡散臭かった。


夕焼けに染まるフィンクスの背中に
私はただついていったけど
何を思い、何を感じ、何を決めたのか
分からずにいた。





フィンクス、明日
どうする?


横たわるフィンクスに問いかけると
フィンクスは寝返りをうって私を見た。


おい、

俺らは何があってもずっと一緒だ。


だから何も心配しなくていい。

ちょっと話を聞くだけだ。

もし、

もしも

もしもつまらなそうなら
やめればいいんだ。

これはゲームだ。

ただの。


フィンクスが真面目な顔をしてそう言うから
私はなんだかおかしくなって、笑った。


ただのゲーム。


そう、ただのゲームなんだ。







お前らに参加する意思があるなら
明日、太陽が沈む頃にここに来い。

俺たちと心を共にする者が集まる。




陽が真上に登ったとき
私とフィンクスは、手を繋いでそこに向かった。



フィンクス、ただのゲームだよね?


そうだ。



ただの、ゲームだ。








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