フェイがいなくなって
しばらくは探したりもしたけど
見つからないと分かってから
私達はあきらめた。
どちらも口には出さなかったけど
この雪の中では
どこに行っても助からないのは明らかだった。
だから、どちらもフェイタンの話題は出さなかった。
フィンクスは熱心にゴミを漁っていたし
私もおざなり程度にそれを手伝った。
一層の厳しい寒さの日は
抱き合って寝たし
幼い私たちはそれが変なことだとは思わなかった。
変わらずに食料は降ってきた。
たまに、温かいコーンスープの缶が降ってくることがあった。
しかし、この寒さの中で
温かいものを飲むと
その後が精神的に応えることを知って
私達はせっかくのコーンスープを
雪で充分に冷やしてから飲んだ。
近くに大人達が群れている場所があって
そこに行けばある程度の食料が手に入った。
力ずくで奪えば
私達は絶対に負けなかったし
何度か通ううちに
向こうから勝手に差し出してくるようになった。
そうやって、比較的楽に冬を越し
フェイタンのことなど忘れかけていたある日
彼は突然現れた。
フェイタンは変わらずにあそこに座っていて
私達をまっすぐ見つめていた。
髪は短く切りそろえられ
こぎれいな赤いパーカーを着ている。
ワタシと来るよ。
フェイはそういうと
立ち上がって歩き始めた。
フィンクスと私は顔を見合わせたが
私達は彼の後姿を追った。