それはきっと死の商人

コルトピが酒を飲んでいるのを初めて見た。

だから広場に入ってくるなりみんなが構うので
(お?!コルトピ酒飲んでるのか?珍しいなおい!
あら、お酒を飲むなんて随分珍しいわね
わ〜コルトピ、大人になったんだね!
酔払うと痛覚が鈍るね。ワタシが教えてやろうか?
いいじゃねぇかコルトピ、俺も今日は酒盛りしてぇなぁ)


遂に嫌になったらしい彼は
私の部屋に入ってくるなりため息をついた。


ちょっとそこ触らないでよ。
私の席だから。


コルトピが座っている私の定位置は
1人用の皮張りソファで
ボノレノフが譲ってくれたものだ。
故郷で使っていたものらしい。


ひどいよ。
僕、こう見えてもいい大人なのにさ。


コルトピは髪の隙間からまた一口、ゴクリと飲んだ。

まあ、凄く申し訳ないけど見えないからね。

コルトピのそんな小さな悩み事よりも
こっちは今日盗んだクスリを
どこの国で売り捌くのが1番高いのか調べるのに忙しいのだ。

デスクトップのライトが眩しくて
目を細めながら画面を凝視する。


みんな僕を子供扱いするし
失礼だよね。

2本目のビールが開いて
コルトピはハァとため息をついた。


正直いってさ、
僕が1番儲けてると思うんだよ。

僕なんて実物さえあれば
なんだってコピーできるんだから。


その言葉に私はイライラして
すぐそばにあったゴミ箱を蹴飛ばした。

壁に当たったプラスチックのゴミ箱は
大きな音をたてて床に転がり
中身は無残に吐き出されている。


何、イライラしてるの?

コルトピはまた一口、ゴクリと飲んだ。


楽して稼いでるヤツとは口を聞きたくない。


私は出てけ、とばかりに出口を指さした。


僕のことをどう思おうが勝手だけど
コピーするための『本物』を盗むためには
それなりに大変なんだよ。

まぁ、1人では仕事できないお前には
想像すらできないんだろうけどね。

それじゃ頑張って、と手をヒラヒラさせて
コルトピは出て行った。


私はコンクリートの天板を力任せにぶっ叩き
苛立ちをぶつけた。


あいつは一体何をしにきたんだ?


今日殺した人間の顔すら思い出せない私は
撃たれたときにできた
腕の擦り傷をさすった。


コルトピの苦しみや
私の苦しみや
団員の苦しみを乗せて
蜘蛛は私の腕でキリキリと泣いている。









まぁ〜たコルトピと喧嘩したのか?
お前ら懲りねぇな〜
違うねノブナガ、同じレベルの者同士だから
よく喧嘩するね。
ハッハッハッ!そりゃそうだ!




私は手頃なリモコンを持っていたが
コルトピが缶ビールの空き缶を投げる方が先だった。


















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