ごめんね


だから嫌だって!

声を荒げてそう言うと、フィンクスもさすがにバツが悪そうな顔をして、私を組み敷いていた身体を退かした。

別に怒ることないだろ。

フィンクスはソファに座って、煙草に火をつけた。私も立ち上がって、乱れた衣服を整える。

そういうの本当嫌なの。
フィンクスが嫌いとかじゃないけど。

フィンクスは、分かんねーな、と呟いて
煙を吐いた。

やったって減るもんじゃないんだからやらせろよ、というのがフィンクスの言い分だろうが
私にだって相手を選ぶ権利がある。


じゃあ、身体貸してくんなくてもいいからさ
口で抜いてくれよ。それならいいだろ?


このバカは、本当に私が
口ならいいよ、とでも言うと思ってるんだろうか。
そうだとしたら脳の神経回路がぶっ壊れてるとしか思えない。通院をオススメしたい。

私はフィンクスの言葉には答えず
マグカップに入った冷たいミルクを一口飲んだ。


なぁ、俺、無理矢理やってもいいんだぞ。


フィンクスが煙草を灰皿に押し付ける。
今しがた聞こえた気がする言葉には
一欠片の現実味も帯びていなくて

私は目をぱちくりさせて
声の主を見つめ返すことしか出来なかった。


お前だって無理矢理やらされんの気分わりーだろ。だから合意を求めてんだよ。


紳士だろ?と言いたげ鼻を鳴らすこの馬鹿は、やっぱり頭がおかしいと思った。
私はフィンクスから距離をとって、ソファと反対側の位置にクッションを置いて座る。


それとも、何だ。
誰かいたほうがいいか?
フェイタン呼ぶか?


念のためヤツの顔を確認するが、全く笑っていない。冗談ではないらしい。
それを真顔で言えるバカは世界中どこを探しても
フィンクスくらいのとのだろう。


そんなにヤりたいなら、どっかその辺の女でも捕まえてきなよ。


その言葉には答えず、フィンクスは立ち上がって
此方に近寄ってきた。私は思わず後ずさりする。


逃げんなよ。


フィンクスは私の首を掴むと、そのまま押し倒した。首を絞められる。息ができない。


苦しいのは嫌だろ?
大人しくしてろって。


私は思わず涙が溢れた。

それに驚いたのか
意外なことにフィンは即座に手を離した。


泣くことねーだろ、おい


フィンは動揺している様子だが
それでも涙が止まらなかった。



違う、フィンクス、違くて
私フィンに殺されてもいいから

だってフィンクスのことは知ってるから。
シャルは、、コルちゃんも、
知らないうちに、殺されてて
私も、そうなるくらいなら、今ここで
フィンクスに殺されたほうがいいよ。


ああ言ってしまった。
フィンは難しい顔をして立ち上がると、煙草を咥えて火をつけた。

ごめんね、

私達だけ生きてて
いつもの日常でごめんね。 






 








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