最近のフェイタンが忙しいのは確かだった。
獲物を見つけて、じっくり育ててから殺す。
それが最近のお楽しみらしく
長い時間家を空けることが多かったし
実際、私がヤツを見たのも数ヶ月ぶりだった。
多分、どこかに寄生するところを見つけて
居座っているんだと思う。
私は私で、フェイタンのいない間にヤツのものは随分処分して、自分だけの城を作り上げていた。
フェイタンの使っていた部屋は、私の作業部屋になっていたし
食器も歯ブラシもお気に入りの入浴剤だって全部ゴミ箱行きにした。
自分の居場所からフェイタンを追い出すことで
ヤツの存在を忘れようとする。
一人では戦えない私は、フェイタンやフィンクスを抜きに生き延びることができない。
それが故に、息をしている限り彼等の存在を意識せざるを得ない。
それは彼等が、私を意識をしているかどうかに関わらず。
私は頭を振って、今見ている画面に集中した。
考えない。
ただひたすらにクラッキングしていれば
ただひたすらに現実と向き合えれば
自分の人生から逃げられる気がした。