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レイナは3日続けてジェイクの病室に来た。
レイナの他愛のない話は尽きることなく、ジェイクは彼女のお陰で退屈な入院生活にならずに済んでいた。
3日目の昨日、やっとレイナはジェイクと検査を受ける約束をして、彼の病室を出たのだった。




「あ、忘れる前に!はい、どうぞ。本当に他の果物とかいらないの?」

そして入院4日目の今日、シェリーが見舞いに彼の好物であるリンゴを持って来ていた。

「ああ、サンキュ」
「って、私ったら!ナイフ持ってきてても、ジェイクその手じゃ使えないわね」

気を利かせたシェリーがリンゴにナイフを入れようとしてジェイクは慌てて口を開いた。

「いい!そのままでいいから」
「……そう?なら置いておくね」

ジェイクの焦り様に驚いたシェリーと同様、彼自身も少しビックリしていた。
レイナが来て、リンゴを剥いてくれて、それを二人で食べながら話す。この心地良い空間が壊されたくなかったのだろうか、と。

シェリーは仕事の合間に来たようで、直ぐに病室を出た。

「あ…」

シェリーが扉を静かに閉めると、思わず漏れたような声が聞こえ、そちらを見ると、パジャマ姿の少女が立っていた。

「こんにちは」

微笑んで挨拶をするシェリーと対照的に彼女は戸惑ったように視線を泳がせている。

「こんにちは、…あの………ジェイクの彼女さん?」
「?…ああ、違うわ。安心して?」

そういう事か、と一人で納得したシェリーは微笑むと、彼女は顔を紅くして手をバタバタと振った。

「違うのっ、そういう意味じゃ…!」
「変にジェイクが文句も言わず大人しくしてると思ったら…、貴女のお陰だったのね。彼、私のボスからの依頼の仕事で怪我させちゃったから………費用の関係もあって、退院の手続きに来たのよ」
「えっ、ジェイク…もう退院なの?」
「ええ、もう足は大丈夫だしね」


* * * *


「検査無事終了ー!」

病室飛び込んできたレイナにジェイクは少し驚きながらも挨拶代わりに左手を挙げた。

「おう、どうだった?」
「どーってことなかった」

数日前に自分が言ったように言う彼女が可笑しくて、ジェイクは苦笑した。そんな彼にレイナも嬉しそうに笑った。

「どの口がンなこと言うんだ!?」
「えへへ…。ねえ……今度、手術受けるね」

つい先日まであんなに渋っていたのに、まさかのこんなにすんなり決意するとはジェイクも思っていなかったようで、目を丸くしていた。

「いつだ?」
「まだ日にちは決まってないよ」

レイナはそう言いながら視線は紅い艶やかなリンゴへ、美味しそう、と呟いて淡々といつものように剥き始める。

「手術、頑張れよ。…まあ、大丈夫だ」
「他人事だなあ」
「は?俺はもう乗り越えたんだぜ」

意地悪く笑ってるであろうジェイクに、レイナはチラリと視線だけを移す。

「手術終ったら、ご褒美ちょうだい?」
「なんで俺が……………で、例えば何だよ?」
「何だろ、考えとく」

変な奴、と不思議がるジェイクにレイナは心の中でありがとうと呟いていつもの様に柔らかく微笑んだ。



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またもや続きます(笑)
141024


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