岩鳶町には水が多い。川、田んぼ、用水路、それからなんといっても海。
七瀬くんと歩いていて楽しいのは、それらを見る度に七瀬くんの目がきらっと輝く事だ。
七瀬くんは口数は少ないけれど目は雄弁だなって思う。水を映してきらきらって光ったりうるりと揺れたり、七瀬くんの目はまるで深い海のよう。
私はそれを見ているだけで楽しい。何も話さなくても平気。

「…退屈じゃないのか、俺なんかといて」
「ううん、全然!楽しいよ」
「……そうか」
「七瀬くんは退屈なの?」
「いや、そうでもない」

あ、今わたしを映した七瀬くんの目、海を見た時と同じ色。
すごくうれしくて笑った。
きれいな水みたいに濁らないで七瀬くんのそばにいられたらいいな。


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