体を冷やしちゃ駄目だよって佐伯さんに怒られたからちゃんとタイツ履いて、コートのボタンも全部留めて佐伯さんにもらったマフラーぐるぐる巻きに手袋もしてる、でもやっぱり寒いものは寒い!
駅に向かいながら私はぶるりと震えた。
コンクール前で合唱の練習に熱が入り過ぎてすっかり遅くなっちゃった。
「寒いなあ…」
「じゃあ、あっためてあげようか?」
独り言に突然の返事。
びっくりして振り返ったら佐伯さんの車が停まってて、運転席から彼がひらひらと手を振っていた。
「佐伯さん!どうしたの!」
慌てて駆け寄ると
「迎えに来たんだよ。また頑張り過ぎてるんじゃないかって心配だったから」
って笑ってくれる。それだけでもう寒くなくなった。