<甘さと苦味>/璃架様より(頂き物)






 




『い・・・・嫌やぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』


少し日が落ちてきた、夕暮れのころ。
一人の少女がベットの上で泣き叫んでいた。



『うるさいわよ・・・蜜柑。
・・・おとなしく寝てなさい。』

『そうだよ蜜柑ちゃん、ゆっくり休んで?
・・・また来年、みんなで行こうね?』


そう言って蜜柑をベットに寝かし、
部屋から出て行く彼女の親友(なハズ)の蛍と委員長。



『うぅ・・・・っ
これもすべて・・・・あいつのせいや〜っ。。。』


蜜柑は、泣きながら眠りについた。





〜その日の帰り道のこと(回想)〜


『今日はなっつまっつりぃ〜♪』

蜜柑は夏祭りがあることではしゃいでいた。
年に一回だけセントラルタウンで行われるお祭り。

住んでた田舎を思い出させてくれる。。。。



『毎年の事なのに、よく盛り上がれるわね・・・・
今年で4回目よ?』

そう、蜜柑たちは中3になっていた。

中等部に上がったみんなと、学校からの帰り道を
一緒に歩きながら、今日のお祭りのことを話す。



『何回目でも、お祭りは楽しいものやんっ
蛍、今年も一緒に行こなっ?』

笑顔で蛍にそう言う。



『・・・・・今年は無理よ。
先約があるもの。』

表情一つ変えず冷たく告げる。



『な・・・・・っ
・・・・あ、そっか。。。。
蛍・・・流架ぴょんとか。。。』


怒りそうになるが、【流架ぴょんとならしょうがない】と蜜柑は諦めた。
だって・・・・蛍と流架は今年から付き合い始めたのだから。



『うぅ〜〜〜
今年ウチ、誰と行けばいいんやろ。。。。

・・・・あ、そうや委員長!!
ウチと今日のお祭り行かへん!?』


誰とも付き合ってない委員長を誘う。



『あ・・・・うん、僕でいいなら付き合うよ^^』

ニッコリ、天使のような微笑みをする委員長。
・・・・いや、天使以上の笑みかもしれない。


『やった〜〜委員長ありがとなっ!!』

ギュッ と委員長の手を握り締める蜜柑。


・・・委員長の頬が赤いのに気づかない鈍感少女。




『・・・・・チッ』

誰かの舌打ちが聞えたかと思うと、蜜柑の周りに突然火が現れた。




『はぎゃ〜〜〜〜〜っ!?!?!?!?!??!?
って、うわっ』


グキッ  バッシャーーーーーンッ


火に驚いた蜜柑は、
慌てた際に足をひねり、帰り道の途中にある川に落ちてしまった。



『『蜜柑ちゃんっ!!!!』』

みんなが慌てて駆け寄る。




『うぅ・・・・・っ』

うめきながら、蜜柑は川から上がった。



『っ な〜〜〜〜つ〜〜〜〜〜〜めぇぇぇぇぇぇ!!!!!!
いきなり何するんじゃボケッ!
濡れてしもうたやないかっ!!!!』


濡れたまま棗につめよる。


『・・・・ぎゃーぎゃーーうっせぇんだよブス。
耳障りな声で叫んでんじゃねぇ。』


『誰がブスやて!?』



こうして・・・・
蜜柑と棗の言い争いは長時間続き・・・・



濡れたままずっと外にいた蜜柑は夕方になってから熱を出してしまった。


〜回想終わり〜


その頃の蛍


『蜜柑も・・・棗くんも、本当にバカね。。。
いつになったら、お互い自分の気持ちに気づくのかしら?』

『本当に・・・・
棗も、自分のあの行動が・・・委員長に対する【嫉妬】って
気づかずにやるもん・・・すごいよな。』


お祭りに一緒に来た蛍と流架はそんな話で盛り上がっていた。


『あ・・・・そうそう、あなたの親友が
“私の蜜柑”を傷つけたんだもの・・・責任とって、何かおごってくれるわよね?』

とてもいい笑顔で微笑む蛍さん。


『えぇ〜〜
・・・・もう、しょうがないなぁ。。。今井は。』

流架も微笑み返す。



そんな・・・微笑ましいカップルにけなされていた蜜柑、
ふと、目が覚めました。


『う・・・・
今、何時や・・・?』

時計を見ると午後8時。



『そろそろ・・・・花火の、時間か。。。
行きたかったなぁ・・・・。』

熱のせいか、お祭りに行けなかったせいか分からないが、
出てきた涙を腕でぬぐう。


ひゅぅぅぅぅぅぅぅ ぱ・・・・っん


音が聞えた。
同時に、外が少しだけ明るくなる。



『花火やっ!
なんとか、花火の端っこだけでも見えへんかな?』



少しだるい体を動かし、ベットから起きて窓に駆け寄る。




『あれ・・・・・?』

窓の外側の出っ張りに、何かがある。



ひゅぅぅぅぅ・・・・・・パンッ


その間も、花火は鳴り続ける。


『あ・・・・!!』


窓を開けて手にとって見る。



『りんご飴や・・・・』

窓の外側の出っ張りに乗っていたのは
大きく真っ赤なりんご飴だった。

お祭りで買う・・・必需品。




『え・・・・なんで?
誰がこんな所に・・・・』

色々な人の顔を思い浮かべてみる。



『蛍・・・は、流架ぴょんと花火見て帰るだろうし。。。
委員長は・・・クラスの子と夜までいるって言ってたし・・・・。』


一人の人が頭に思い浮かぶ。
・・・が、

『いやいやいや、あいつはありえへん!
あいつが・・・こんなことするハズ。。。』


ひゅぅぅぅぅぅ・・・・・パーーーーンッ



【ない】って言おうとしたとき・・・何かが視界に入った。
花火の光で見えた、窓の外に落ちているキラッとした物。



窓から身を乗り出し、よく見てみる。



『あ・・・・。あれ・・・・・っ』

それは・・・
小さな、小さな・・・・オレンジ色のアリスストーン。



『あのカケラ・・・
昔、ウチが作った・・・・アリスストーン?
棗に、あげた。。。』


押し付けた、といっても過言ではないあのストーン。
何故、こんな所に・・・・?



『棗・・・まさか。。。』

棗が、りんご飴をここに持ってくるときに・・・
落としてしまったのだろうか。

自分のあのカケラのようなアリスストーンを持っているのは棗だけ。
あげたのは・・・棗だけ。


『・・・・ふっ』

自然と、笑みがこぼれる。



『まだ・・・持っててくれたん?
5年も前に・・・小5のときに作ったやつ。

あんなカケラ・・・いつ無くなってもおかしくないのに。
・・・・棗――。』



さっきまで怒ってたのを忘れてしまうくらい、穏やかな気持ちになった。



『しょうがない・・・・・
今度は、もう少しおっきいのあげへんとな。
・・・・このりんご飴のお礼に。

昔よりは・・・マシな大きさが出来るやろ。』



大切な・・・人を想って作るアリスストーン。

この・・・今の気持ちがあれば、
今までで最大の大きさのストーンが作れる気がする。




『・・・・ふふっ
ありがとな、棗・・・・。』


一人、窓を開けて空を眺めている少女が呟くと、
空に今までで一番大きな花が咲いた。


ひゅぅぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・パァァァンッ






この花を・・・・みんなが、見ている。
空に咲いた鮮やかな彩りの花を・・・・同じ気持ちで。



【綺麗】だね・・・・。








中等部3年の夏。
いつも意地っ張りな2人の距離が・・・・少し、縮まった日の出来事。


来年は・・・一緒に、りんご飴を食べれてるかな――?




















fin.




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夏休み企画の小説として投稿してくださったものを頂いてしまいました//
ホントに嬉しいですありがとうございます…。
なんていうか、誕生日プレゼント+クリスマスプレゼントをもらった気分(`・ω・´)

これからも管理人をよろしくお願いします♪ 
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