Such an excuse won't do./柊小夜様より(頂き物)









蛍に教えてもらった学園内で隠れることができる場所。北の森。
まともに道も分からない人が入れば出てくることができないらしい。
私はそれを思い出してそれとなく北の森へと入っていく。

ガンガンと容赦なく照りつけていた太陽は、森に入るなり木々に遮られることによって木漏れ日と化した。
そんなことはどうでもよくて、ただ森の奥へと足を速める。
そもそも何故私は逃げているのか。否、私は逃げているのか?
そんなことも分からなくなってきた。
…が、そう簡単に忘れさせてはくれないらしい。
私の後ろ、かなり後ろの方ではあるが凄いスピードで私を追ってくる気配を感じた。
ゆっくりしている場合ではない。
後ろを振り返っても誰も見えないが、何せ一本道。ある程度まで近づいて来られると見つかるのだ。

しかし、勢いよく照りつける太陽と弱った体によって体力は限界である。
私はただ只管に逃惑うことを諦め、身を潜めようと傍の木に登る。
ようやく登りきったところで、其処に見覚えのある人物がいたことに気がつく。


「あ。皐月さん。」

「気付くの遅すぎるだろ。」


本当に気付いていなかった。
木に登ることに意識を集中させていたから、人がいるとは思っていなかった。

「皐月さん、すみません。少しの間だけ気配消してくれませんか…っ?」

出来るだけ短時間で事情を話すと皐月さんも快く承諾してくれて、追手が私たちの下を通り過ぎて見えなくなるまで二人で気配を消し続けた。
確かに短時間であったはずなのだが、私にとっては息の詰まる大変長い時間に感じられた。

「はぁ…。有り難う御座いました。」

「否、大丈夫だ。」


そこで話が途切れ、話題も思うように思い浮かばず沈黙が訪れる。
なんとか話題を見つけようとするが、こちらの世界ではあったばかりの皐月さん。下手に話を振ることができない。
私は話題を探すのを諦め、前回の話の続きをすることにした。


「で、皐月さん。何でそんなにスカートが長いんですか。」

「だからお前は何でそこを突っ込むんだ。」


それ以外話題が思い浮かばないからですよ。と言いたくなる衝動を抑える。
他にある理由としては、ただの私の好奇心によるもの。

「聞く必要性は。」
「…ない、ですけど。」


「それを聞いて何かメリットは。」
「それもないです。」






「聞く権利は。」
「あります!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


「てめーはボケか!!!!!!!!!」


多分、皐月さんは質問攻めにでもして私を諦めさせようとしたんだと思う。
けど私は何処までも真面目、なんていう性格をしているわけではない。
のれそうなところがあれば流れに逆らって答える。皐月さん、質問の仕方を誤った結果ですよ。



「答えは一択じゃないはずです!」

そう言ってみると、皐月さんは悔しそうに舌打ちしつつも反論はしてこなかった。私が言ったことが正論だったから。


「…本当にお前は何がしたいんだ。」

「否、本当にそのことが聞きたいだけですよ。」






再び沈黙が訪れた後、皐月さんは勢いよく木を飛び降りる。
華麗な着地を決めた後は木を見上げ、つまり私を見て言い放った。


「理由なんか初めからないっつの!!!!!」

「絶対それ嘘ですよね!?」


そう言った頃には時既に遅し。
皐月さんはもう見えないくらい遠くまで去っていたのだった。
驚異のスピード。あれが体術のアリスの力…。



私は皐月さん同様、木から飛び降りて華麗に着地する。
さあ、教室に帰ろうかと歩きだした。







「いたっ!!!!!!!!」


声がしたと思って後ろを振り返ると、そこにいたのは恐らく私を追いかけて北の森までついてきていたであろう先程の生徒。
私を追いかけていたはずが、前に進んでも進んでも見当たらなかったため諦めて戻ってきたと考えるのが妥当だった。

















___________________結局そういうオチですかっ!!!!!!






end.



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