泣き虫で甘えん坊な君が好き/胡桃様より(頂き物)






「このバカ泣かしていいのはあたしだけだから」


紫と赤が対立する間に、あたふたと驚きを隠せずに動揺する一人の彼女。きっかけは昨日のある出来事に遡る。

**


「真っ暗や、」


講義が終わり、目の敵にされている神野先生から滅多に無い補習という名目の授業が行われ、気がつけば7時半。
蒸し暑い季節はもうじき寒い時期に変わり、夏だったらまだ薄暗く帰りやすいのだが、寒くなるとどんどん辺りは黒く塗りつぶされていく。
フーッと息を吹きかければ白い霧ができ、少し肌寒い性か、無意識に息を吹きかけ擦り続けていると後ろから誰かが近づいてくる足音が聞こえて来た。


しだいに音はゆっくりと近づいてくる。
彼女が居る位置は大学の正面扉の前。当たり前に、まだ学生が残っていれば通る場所だ。だが、彼女はあることを知っていた。それは、先ほど帰る途中に出会った先生から残っているのは自分だけだ、ということを聞いていたからだ。お化けや怪奇現象、場合によっては暗い所も嫌いな彼女は後ろを振り向くことが出来ず。また体を動かすことも出来ず。ガクガクブルブルと目をつぶり震えていた。すると、いつの間にかその足音は消えていた。首をキョロキョロと動かし周りを見ても誰も居ない。聞き間違いだと思った彼女は、安心した様子で一歩踏み出すと、


「蜜柑」

「ぎやあああああああああああああああ!」


突然呟かれた一言に驚いた彼女は、猛ダッシュで正面扉の前の階段を下り門の前で荒れた呼吸を整えた。
何が聞こえたのか、という確認などパニック状態の彼女には出来ないようで今は、何かが自分に呟きかけた、と思っている。霊感など無いと信じたい。あってたまるか、という思いである。
後ろを振り向けず、でも一歩も足が言うことを聞いてくれない。そうなると、恐怖感が全身を襲いかかった。


「――失礼ね、アンタ。そんな所で腰抜かしてると通れないでしょ」

だが、後ろから聞こえて来るのは聞き覚えのある声。するりと彼女の耳に入ってくる大好きで大切な親友の声。鼻声を必死に止めようとしながら、おずおずと尋ねる。


「ほ、蛍…?」

確認するように、問いかけると深いため息を付いた後ろの人物は助け舟を出すように手を差し伸べる。
それを見た彼女は、嬉しさと喜びを混ぜた表情を浮かべてその手を受け取る。へばりついた腰を上げ、掴んだ手はそのままに。踏み込むように門を出た。


「いつまで泣いてるの、蜜柑」

「だってぇ…」

「――アンタの泣き顔は3割増しブス。だけど、笑ってるアンタは嫌いじゃない。だから笑って」





抱きついたのは言うまでもない。
**
続編を書こうと考えてたらいつの間にか、なつみかん→みかほたになってしまった感じです。すみません(涙)
冒頭の台詞は、久しぶりに見た蜜柑の泣き顔の影響だとか。棗と蛍姉さんはこれからも蜜柑を挟んで奪い取って欲しい←
蛍姉さんと蜜柑をこよなく愛してます!!←


前の続編ということで、こちらにも投稿させて頂きました!

続編というより、なつみかん/ほたみか/となってしまった、という感じです(号泣)
どちらとも学生パロのつもりです。お持ち帰りなど美優様だけです+。

蛍の台詞がほとんど学アリ(一巻参照)の台詞だと気付いたの人は凄いです!
名言集っぽいです、蛍姉さんのww

美優、いつもありがとー!


――――……


こちらこそありがとー!←
いつもお世話になってる胡桃からまたもや豪華なプレゼントが(笑)
さんくすです!掲載が遅れてごめんなさい……。

これからもよろしくお願いしますー!



…コメントの【こちら】は気にしないが勝ち。




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