Thanks, clap.

 

 雨が降ってきた。朝の時点では降水確率20%だったものだから、降らないと決め付けて傘を置いてきてしまったのだけれど。
 こんなことなら折り畳み傘を入れっぱなしにしておけばよかった、などとぶつぶつ呟きつつしばらく待ってみたけれど、止む気配はない。
 仕方ないから濡れて帰ろうと思って外に飛び出した、
 ───瞬間。
「勝手に帰ってんじゃねーよ」
 男らしい声が聞こえたと同時に、上からの雨粒が遮られた。
 驚きと期待と共に振り替えると、そこには……普通に、女友達が傘を差して立っていた。
「…………」
「……何さそのがっかりした顔は。せっかく声まで作ってあげたのに」
「一瞬でも出会いを期待した私が馬鹿だった」
 うははと楽しそうに笑う友達の手から傘を奪い取り、私は一人で歩き出した。
「ちょっ、待てって、濡れるじゃん!」
 ぎゃーぎゃー言いながら友達が傘の下へ入ってきたため、仕方なく二人で並んで帰路につく。
 女二人で何をしているんだろうと思いつつも、少しだけ足取りが軽い、私がいた。


(習作03)


もう一回?





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