ぬちゃぬちゃと卑猥な音が耳について煩い。しかしユーリの腰は熱く、拒絶する動きが取れないでいた。
「火渡……いい加減にしろっ……」
火渡カイは包み込む口を止める様子はない。唾液をふんだんに使ってユーリのペニスを可愛がっていた。根本からしっかりと舐められ、限界が近い。吸い上げるように口をすぼめたかと思えば、一転して睾丸へと攻めだした。生殺し状態が幾度も続いていたのだ。
屈辱的な負けだった。カイのドランザーの調整が間に合わず、ボリスと試合に出た。勝てる確信があった。しかし突如ウルボーグは大破してしまった。不戦敗に近いこれは、ユーリ自身悔しさで遣りきれない思いが強かったのだ。
取り敢えず控え室に戻るや否や、ボリスとセルゲイはカイにより追い出される。それを尻目にユーリは内心で怯えた。この俺が怯えるなど。と想いも毎度抱くも、追い出す火渡カイに恐怖を覚えずにはいられなかった。
何故なら、
「ユーリ、服を脱げ」
立ちはだかる彼は狂気を秘めていたからである。
何時からこうなってしまったのだろうか。自分が負ける度にこいつにフェラをされる。しかもやけに丹念に、である。当初は奴は気が狂ったと思った。しかし、射精を促すように吸い上げる舌に誘われて、幾度も射精していく内に、心を侵されていく。快楽に溺れていたいと、今でもこの想いを強くしている自分がいるのだ。カイのフェラは絶品だった。じゅるじゅると音を立てて吸う様は、絵になるほど美しい。今日も何時もと同じように、ユーリは大量のザーメンをカイの口腔へ吐き出すのだった。
ユーリの精液を自分の掌に吐き出すカイは笑う。その笑みは見下すようなものではなく、自嘲するようなものでもなく、ただただユーリに笑いかける類いのそれだった。
カイは慰めているのか。それとも責めているのか。何度口でされても真意は読めない。しかし、
「ユーリ、気持ちよかったな?」
この時のこの笑みだけは、純粋無垢に思えたのだ。