「神威」

口から派手に血を吐き思わずしゃがみ込んで床に向かって何度かむせた。顔をもたげると目の前に濁った瞳があった。美しい瞳だと思った。「ねえ痛い?」…痛いって何?分からない。痛みと美しさは同時に存在するのだろうか。ああ違う。だがこれが生まれて初めての痛みならば誤解してしまうよ。痛みと美しさは似ているって。きっと脳の痛みを感じる領域と美しさを覚える領域は隣り合わせなのだ…夜兎の血は誇りに思ってる、だから分からないのかな。

確かに重たい一発だったが何故かそれは失速していた。腹に喰らった拳から伝わる衝撃は油断したからだった。ゆっくり息を吸うと、血の匂いしかしない。

「神威、痛いって、こういうこと?」
「知らないよ。俺も夜兎なんだからさ」


110102

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