ハイキューアニメ2期おめでとう企画〜リレー小説〜 | ナノ


  1 バレー禁止令


「明日は遊園地へ行くぞ」



ある夏の昼下がり。
烏野高校排球部主将である澤村大地が突然そんなことを言い出した。

ぽかんと口を開ける部員を前に、澤村は説明を加えた。



「ちょっと俺らはバレーやりすぎだから、コーチが明日休みにしてくれたんだが……」



チラリ、チラリと 影山、日向、西谷を見る。



「まあバレーしないために部活休みにしてもバレーする馬鹿共がいるからってことで、せっかくだし皆で遊園地へ行くことにした」

「何で今こっち見たんすか!?」

「西谷静粛に。――まあバレー以外でも仲良くなろうぜ、ってことだから 1年は全員参加な」



澤村のその言葉に盛大に眉間の皺を深くしたのは言うまでもなく月島だった。



「……僕遊園地とか行きたくないんですけど……」

「ええーっ何でだよ月島!遊園地だぞ!?やんやんややーん♪だぞ!?!?」

宮城県民しかわかんないネタをこの小説で言うのやめてくれる?……遊園地なんて騒がしいし金かかるだけじゃない」

「楽しいからいいじゃねぇか!」



心底めんどくさそうな顔をしながらぎゃんぎゃんと吠える日向の下痢ツボを押す月島を見て、澤村は究極奥義を取り出した。



スイパラの招待券

「わかりました行きます」

「おいまだ主将スイパラ招待券しか言ってねぇぞ」



辺りに花を散らしながらスイパラ招待券を受け取った月島。

よし、買収完了。



「2、3年はどうする?」

「俺は行きます!」

「俺も!」

「俺も行く〜」

「俺も。こんな機会あんまないしね」



西谷、田中、旭、スガ、と澤村は持ってきたメモ帳にメモする。



「縁下と成田と木下は?」

「あ、すみません、今俺の母が風邪引いて寝込んでいるので自由参加だったらお休みいただきたいです」

「俺はちょっと自分の体調が優れないので……」

「わかった、成田と木下は欠席な。縁下は?」

「え、あー……」



視線を泳がせる縁下。
遊園地ではしゃぎそうな同級生や単細胞馬鹿の1年生を横目でちらりと見る。

……来年はこいつらを引っ張ってかなきゃなんだよな。



「行きます」

「お、そうか」



嬉しそうに笑いながら澤村はメモ帳に名前を付け足した。



「あ、清水とやっちゃんはどうする?」

「仁花ちゃんが行きたそうにしてるから私も行く」

「ひょああああ!?!?」

「ははは、おっけー」



ってことは、成田と木下以外全員か。
楽しくなりそうだ。



「じゃあ明日朝9時に仙台駅ステンドグラス前集合な」

「「「オッス!!」」」









次の日。




「おおー小学生以来だなあ」

「ふおおおお!!遊園地!!!」



無事目的地に着いた烏野ご一行。
入場券をまとめて澤村が買いに行く。



「ここってそんなアグレッシブなアトラクションはないんだけど、ミシミシッつってさ、いつ壊れるかわかんない恐怖感があるよね〜」

菅原さん入る前からそんなこと言わないで

そんなこと言われたらアトラクション乗れない

「ははは、わりいわりい」



心なしか、皆のテンションもいつもより少し高めだ。
……一部を除いて。



「なあなあ影山!お前ジェットコースター平気?」

「……乗ったことねえ」

「え、マジで!?もしかして遊園地初めて!?」

「……まぁ……」



幼少期から小・中学生までバレーばかりだった影山には無縁の遊園地。
高一にして遊園地デビューである。ハッピーバースディ遊園地影山。

それを聞いた月島と山口はぶふっと笑った。



「さすがバレー馬鹿」

「だよねツッキー」

「そんなお前らはジェットコースター平気なのか?」

「俺は平気だよ」

「……僕も」



やや反応が遅れた月島に何かを感じ取った山口は首を傾げて月島を見た。
それに気付かない日向は影山も引っ張ってきて話を続ける。



「じゃあ皆で乗ろうぜ!!」

「君身長制限アウトじゃないのー?」

「はああ!?全っ然大丈夫だし!!!」



まあ確かに小学生のころは駄目だったけど、と ごにょごにょ言う日向。

その様子を見ていたマネージャー二人は笑った。



「仁花ちゃんは?ジェットコースター平気?」

「う……じ、実は乗ったことなくて……」

「そうなの?」

「尽く身長制限ひっかかって……」

「あー……」



しょんぼりと俯く仁花の頭を、清水は撫でた。



「今日はきっと乗れるよ」

「!!はい!!!」



そこへ澤村が戻ってきて、入場券を全員に配った。



さあ、いざ遊園地。









「うひゃー!!ジェットコースター!!何か乗るやつ!!車!!何か乗るやつ!!!」

「ははは、何か乗るやつ多いな」

「う、名前わかんなくて……」

「ははは、そうだな」



澤村は はしゃぐ日向の頭をぽんぽんと叩いた。



「よし、じゃあまずどれ行くべ――」

ああああああああーーー!!!

「「「「!?」」」」



突然響いた声。
既にその声がしたほうを向いていた影山の顔が歪む。
遅れて烏野一同もそっちを見ると――



「お、及川……!?!?」



無駄にお洒落な格好をした及川がクレープを片手に烏野一同を指差していた。

※人を指差してはいけません。良い子はマネしないでね!



「ちょ、烏野じゃん!!トビオじゃん!!何してんの!?」

「いやそれこっちの台詞……」

「及川、ぼっち遊園地か?」

「ちょっと爽やか君何でそんな笑顔なの!?ぼっちじゃないし皆いるし!!」



こっちこっち、と手招きされたので仕方なく着いていくと、及川と同じくクレープを持った青葉城西の面々がいた。

彼らは烏野ご一行に気付くと、ぽかんと口を開けて固まる者もいれば、顔を歪める者もいた。



「見て見て!烏野の人たちに会っちゃった!」

「見ればわかる。……何してんだ烏野」

「ただ休日に遊びに来ただけだけど」

「お前らは何でここいんの?」



各校の主将・副主将の会話が始まる。



「あーそれはね」

「簡単に言うと及川の姉ちゃんからここの招待券6枚貰ったんだよ」



なるほど、と烏野一同はまあまあ納得する。
及川って姉ちゃん居たんだ、と菅原がつぶやいた。



「……で、このメンツは何事」



澤村が 及川と岩泉の後ろにいる 花巻、松川、国見、金田一を見た。



「いやー割り箸でくじやろうと思ったんだけど割り箸足らなくてさー仕方なくペア作ってくじ引いたらこんなメンツになっちゃった」



キャラ濃いな、と烏野一同は思った。



「あ、そうだ」



及川が手を叩く。















「せっかくだし、一緒に回らない?」

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