Another world
※NARUTOコミック六一巻についてきた特別冊子 そこに描かれていた劇場とリンクしている小話を「もしも夢主がいたら……」バージョンで私が欲望のままに書いたものです 原作のイメージを崩してしまう恐れがありますので苦手なかたは……ここには来ないよね! *** 貴重な最後の休日。そんな日に何をするって、んなの決まっている。この時にとイチャつかねーでいつするんだ。のやわらかな体を後ろからギューッと抱きしめれば、それだけで落ちつくというか和むというか。いい匂いがする首筋に顔を埋めて、ここぞとばかりに堪能。白い首筋に誘われて、ちゅ、ちゅと唇を当てればくすぐったそうにの体がもぞもぞ動いて、んで恥ずかしいような困ったような表情でオレを見つめてくるんだ。 「オイ、ナルト何お前ボーッとしてんだよ」 その声にハッと今自分がいる場所を思い出す。そうだった。ゲジマユに誘われてみんなで銭湯に来たんだった。なかなかとイチャつけなくて、ここに来てまで妄想しちまった。ヤバイ、オレの顔にやけてなかったよな? 思わず、口元を手で覆う。 「なんだよ、のぼせたのか?」 「それはおかしい。なぜなら、のぼせるとはお湯で温まった血液が脳へいくために起こる症状。ナルトは、のぼせる程熱い湯につかっていない」 キバがシャンプーハットをかぶりゴシゴシと髪を洗いながら口にした質問にたいして、シノがなんか難しいことをブツブツ言っているがキバも意味がわかんないのか、なに言ってんだって顔をしている。相変わらずだな、シノは。苦手だけど、まぁ嫌いじゃねーってばよ。 「大丈夫だってばよ。のぼせてねーから」 一応心配してくれてるんだろう二人にそう伝えてから、早くゲジマユも来ればいいのにな、と付け足した。最後の休みなのにあいにくは用事で外に出てて仕方なく部屋で影分身とトランプをしていた。相手は、まぁ影分身なわけだから結局オレなわけで、勝敗がよくわからないまま終わった。そんな微妙な気持ちでラーメンをすすっていたオレに銭湯へ行こうと声をかけてくれたのがゲジマユだった。 用事がちょうど終わって帰ってきたも一緒に来てるとはいえ中では男女別れるんだから、あんまし一緒に来たって感じがしねー。どうせだったらと二人でこういう広い風呂に入りたかったよな。二人で! 他のやつにの体見られてたまるか。 の体はどこもかしこも柔らかくって気持ちいいんだよな。しかもいい匂いで、それが余計にオレをどうしようもない気持ちにさせるっていうか心臓もたないっていうか、とにかく胸が苦しくなる。でも嫌な苦しさじゃなくて、むしろもっと欲しいって思っちまう。ずっとギュってしてても全然足りなくて、もっともっとが欲しくてたまんない。あのふにってしてて甘い唇を味わいたい。は最初びっくりするものの、ぎこちなくそれでもゆっくり唇の動きに合わせてくれるんだろうな。あー、今すぐに会いてぇ。なんてまたのこと考えてたら、オレの顔はだらしない顔をしてたんだろう。その顔を見たネジが何を企んでるとか言いやがってきた。失礼だな、と思うもののネジの「覗き」という発言ににやりと企んでしまう男の本能。 よく考えれば、のちゃんとした裸は見てないんだよな。いつも恥ずかしがって隠すから、ここは彼氏としてちゃんとの体を見ておくべきだろう。うんうん。そう納得して、いい湯だったなと浴場から退出。そのまま女湯に向かう。覗きポイントはどこだろうとこっそり確認しようとしていたら、中からまるで爆発でもしたんじゃないかってくらいのすさまじい音がした。それと同時に響く声。 なんだ、なにがあったんだと混乱していると中から女子たちの騒がしい声が聞こえる。気にはなるが、さすがに中に入っていくのはなぁ、と様子を伺っていると騒ぎを聞きつけたネジたちがやってきた。オレを見つけてすぐさま犯人扱いするネジに違うと返すと同時に女湯の脱衣所から響いた女子の怒鳴り声。みんなそれを聞いて堂々と女湯へ入っていく。え、ちょ、ちょっと待てお前ら! そんな簡単に入っていいのかよ。そっちにはもいるっていうのに……。ハッ、つーことはの体が他の奴らに見られちまうってことじゃねーか、と慌ててオレも中を覗く。 「!」 「ナルトくん!」 名前を呼べばがオレのことに気づいてこちらに近づいてきた。が、慌てて顔を逸らす様子にどうしたんだと聞けば、どうやらオレの格好に驚いたらしい。てか、ネジたちだってオレと同じ格好してんだけどな。しかも、オレの裸とか見慣れてるだろうに、いちいちかわいい反応をしてオレのツボを押してくる。つーか、のバスタオル姿じっくり見たいのになんか見れねぇ。髪もアップにしててなんかいつもより色っぽい気がするし。これは早くここから男どもを退出させねぇと。そんなことを悶々と考えているとが慌てて声をだした。 「あ、ナルトくんリーさんを助けて」 「へ?」 どうやら、さっきのすげー音はゲジマユが上から落ちてきた音らしい。運悪く落ちた場所が女湯の脱衣所だったから覗きの疑いをかけられてんのか。 「ゲジマユ」 いのに首元を掴まれているゲジマユはみんなから疑われ特徴的と言える丸い両目から涙を流していた。疑いの視線に耐え切れなくなったのか、ゲジマユはいのに掴まれていた両手を振り払い脱衣所を飛び出していく。怒りに任せそのあとを追いかけるみんな。 「ナルトくん」 「ああ、ゲジマユは覗きなんてしねぇ」 心配そうにオレの名前を呼ぶに安心しろという意味を込めて笑いかけた。 *** そんなこんなでなんとかゲジマユの疑いは晴れたものの、なんでか今度はオレが下着ドロボーだと疑われサクラちゃんに思いっきりボコられた。ヒリヒリと殴られた頬が痛い。しかしそんなこと気にならないくらい今のオレの部屋は重くるしい空気でいっぱいだ。なぜってがさっきから膨れっ面だからだ。 「」 ぷいっ。 名前を何度呼んでもは膨れたままオレと目を合わせようともしない。痛い。サクラちゃんに殴られた頬もだが、に無視をされていることが一番痛い。 「あの、あれは事故っていうかオレが盗んだわけじゃなくて」 泣きそうになりながら言い訳をするオレには小さく「知ってる」と呟いた。表情は変わらず不機嫌なままだ。 「ナルトくんが下着盗むような人じゃないって知ってる。でも他の人の下着が事故でもなんでもナルトくんが持ってたの悔しいんだもん」 なんで私のじゃないのって膨れるが可愛くて今まで痛かった胸が違う痛みに変わる。 「」 思わずギュッと抱きつけばは驚いてバシバシとオレを叩いてくる。 「ま、まだ怒ってるんだから! ナルトくんのバカバカバカ」 「うん、ごめん。オレってばバカだ」 抱きしめたまま言えばは黙ってオレの服をギュッと握る。今まで触れられなかったの温もりに暴れだす欲望。髪に唇を落とし、続けて瞼、頬と口づけをする。少し泣きそうな瞳と目が合ってゆっくり閉じられたのを合図に今度は唇を重ねる。最初は小さく。だんだん激しく。唇の隙間から舌をねじ込めばが肩を震わせて小さく息を吐いた。その息すら欲しくてたまらない。を抱きしめていた腕はすでにとかれ今はその彼女の体を這っていた。背中から腰、腰から太もも撫でればキスの合間に小さく反応を示すがかわいくてたまらない。今すぐにでもが欲しくてベッドに連れて行こう、そう思ったときだった。ドンドンと玄関のドアが叩く音がした。思わずビクッと体を震わせたのはオレだけじゃなくてもだった。うるんだ瞳はさっき怒っていたときは違って若干熱を含んでいてそれがオレの胸を鷲掴みにする。やばいかわいい。もういっそこのまま居留守決め込んでやろうか。そう思ったがまたドンドンとドアが叩かれた。 「……誰かきた?」 「み、たいだな」 そんなすぐに火照った体の熱は冷めてくれない。お互いこの状況をどうしたらいいのか考えていると玄関先から「おーい」と呼ぶキバの声。「さっさと開けろ〜!」という大きな声でやっとキバたちが来たことを理解した。も気づきハッと慌ててオレから退く。柔らかな太ももから手が離れもうちょっと触っていたかったなとつい思ってしまう。 「わ、私が出るね」 「えっ、ちょっ」 服を整えて急いで玄関に向かうにオレは焦った。まだ妙に色っぽさが残ってるその顔であいつらを出迎えてほしくなくて慌ててその背中を追いかける。――が遅かった。 ガチャリと簡単に開いたドアの先にはキバとシカマル、それからチョウジにシノ。ゲジマユはもちろん、ネジまでいて大集合だ。男ばっかだけど。 「、お前なんか顔赤くねーか」 の顔を見て突っ込むキバに「そ、そんなことないよ」と笑うの顔は更に赤くなる。それを見てシカマルが「まずいとこに来たか」と珍しく目を泳がせた。慌ててをオレの背中に隠すもののもう完全にさっきまでイチャついてたのバレてる。キバ以外に。 「よ、よぉー! お前らつったってないで上がれってばよ!」 笑顔でごまかすが空気は気まずいままだ。キバだけがそれに気付かすズンズン奥に入っていってるけどな。 「ナルトくん?」 急にオレが引っ張ったもんだから不思議そうな表情をするにみんなの目を盗んで軽く頬にキスをした。 「続きは、みんなが帰った後でな」 オレの言葉の意味を理解したのかの顔はこれでもかというほど赤く染まる。さっきの赤さなんて比じゃないほどに。 「だから今、みんながいる間はそんな顔しねーでくれってばよ」 まだ潤んだ瞳に赤い頬。小さく開いている唇はさっきまでキスをしていたからなのか艶っぽく光っている。そんな色っぽい顔はオレだけが知ってればいい。他の男にはぜってー見せたくねぇ。そう思って言ったんだが本人に伝わってはいないようだった。首を傾げ「そんな顔ってどんな顔?」と呟いたから。ほら、またそんな顔をして。 みんが帰ったら覚えてろよ、。 *** やっぱ最後の休みには隣にがいなきゃな。 そう思いながら目を閉じているの髪を撫でる。 あの後、みんなが帰ってから晩飯もそこそこにして散々を泣かせた。何度も「もう、む、り……」と泣くをキスでごまかしてオレでいっぱいにした。しまいには気絶するように眠ってしまったがオレとしてはもうちょっとを感じていたかった。きっと目が覚めたら「私とナルトくんじゃ体力が全然違うんだから手加減してっ!」って怒られるんだろうな。 彼女を見つめ何度も髪を撫でる。指をくすぐるそれに唇を落としていつもは考えないようなこと、いや考えないようにしているわがままを呟いた。 「父ちゃんと母ちゃんにのこと紹介したかったな」 そして祝福されたかった。 父ちゃんと母ちゃんがそうされたように。 「なんてな」 こんなこと言うなんて柄じゃない。どうかしている。久々に賑やかだったからなのか妙に湿っぽい気分だ。 そんな気持ちをごまかすように隣に眠るを引き寄せ瞼を閉じた。 |