ショートノベル | ナノ


正夢になるかな?


手を繋ぎながら、出店の沢山並ぶ桜並木をブラブラと歩く。


「ね、次はどれ食べようか?」

「んー・・・俺、あれ食いたい」

「どれ?」

「あれ! わたあめ!」

「よし、じゃあ次はわたあめにしようか!」

「うん!」


決定すれば、むっくんは急いで残りのベビーカステラをパクパクと口に運び食していく。
そんな姿さえ、愛おしい。


「ふふ、そんなに急いで食べたら喉につっかえちゃうよ?」

「だいじょーぶだし!」

「大丈夫じゃありません。ちゃんとよく噛んで食べなさい。わたあめは逃げないんだから」

「うー・・・夢ちんお母さんみたいなこと言わないでよ」


ぷくっと頬を膨らまして怒ってみたって、可愛らしいだけなのに。
この子は、本当に愛らしい子だ。
その膨れた頬を人差し指で押してやりたい。
けど、身長的にそれは不可能なので、私は小さく笑ってやる。
そしたら、愛らしいこの子は「笑うなし!」と、繋いでる私の手をゆさゆさと揺らしてきた。
ああ・・・この子はどれだけ私を夢中にさせれば気が済むのだろうか。


「反則だよ・・・」

「? なに。夢ちん、何か言った?」

「え? ううん、何も言ってないよ? って、ああもう・・・また頬に食べかすが着いてる」

「えー、どこー?」

「ここだよ、ここ。ちょっと屈んで。取ってあげるから」

「んー」


むっくんが屈んだら、頬についてるベビーカステラの食べかすを取ってあげる。
「はい、もういいよ」と頭を撫でてやれば、むっくんはにっこりと嬉しそうに笑って。


「夢ちん、ありがとー」


だなんて。


「っ・・・(もうっ、本当にこの子はっ・・・)どういたしまして。さ、じゃあ食べ終わったならわたあめ買いに行こうか」

「うんー、行くー! わたあめ〜!!」

「はいはい、わかったから引っ張らないで」


愛らしいにも程がある。
そして、ぽかぽかとした陽光を浴びながら、私はむっくんに引っ張られるがままに花見という名の食べ歩きをしたのであった。


「―――と、言う夢を見たんだけど、どう思う? 氷室っち?」

「あ、夢なんだ」

「うん。夢なの。まあ、実際今年の花見は夢通りむっくんと共に出店食べ歩きツアーになりそうだけどね」

「正夢になるといいね」


盛大な夢オチですが、何か?
絶対に正夢にしてやるからな、こんちきしょー。

正夢になるかな?


*アトガキ*
厚かましくも、夢の中でフェアリーむっくんとデートさせていただいた管理人ですが・・・思うのです。
むっくんと食べ歩きデートをするのなら、相当な額を財布に入れておかないといけないな、と。
むっくん可愛いです。むっくんマジ天使。って、むっくんはフェアリーなんですけどね。

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