ショートノベル | ナノ


普通じゃつまらない


「ハッピバースデーイトゥーユー、ハッピバースデーイトゥーユー」


上機嫌に、スキップをしながら夢は廊下を進んで行く。
手に抱えられているのは、既に火の灯された15本の蝋燭が刺さった、苺の王道ショートケーキ。
ちょこん、と乗ったチョコレートには"おめでとう、けいごくん"と白のチョコペンで書かれている。
そして、そんなケーキを持った夢が向かう先は、何を隠そう・・・自分の恋人、跡部景吾が待つ生徒会室だった。


「ハッピバースデーイトゥーユー、ハッピバースデーイトゥーユー・・・」


お馴染みの歌を歌いながら。
すると、あっという間に生徒会室前に到着。
にまっと笑い、夢は"すぅっ"と大きく息を吸い込んで。


「ハッピバースデーイディア・・・」


生徒会室の扉を蹴開けると同時に、自分で蝋燭の火を、蝋燭ごと吹き飛ばして大声で生徒会室へ突入。


「景吾ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっっっっ!!!!!!!!!!」

「うるっせ・・・って、夢!? 何し、」


驚く、生徒会室の主であり、自分の恋人である跡部景吾は余所に、ケーキを片手に跡部へ突進する夢。
そして。


「ハッピーバースデイトゥーユー!!!!! 死にさらせぇえええええええええええええっ!!!!」

「ブッ!?」


夢は、跡部の顔面めがけ、1ホールあるショートケーキを投げつけた。
すると、綺麗に跡部の顔面にケーキがぶち当たる。
・・・・・・事はなく。
前を向いた夢の目の前には、1ホールのケーキを顔面に張り付けた・・・


「はれっ!? 忍足(めがね)!?」


忍足侑士(通称・めがね)の姿が。
思わず夢は固まった。
しかし、すぐに夢は焦り、舌打ちを零す。と同時に、忍足を盾として使った跡部の怒号が生徒会室・・・否。氷帝学園中等部全土にまで響き渡った。


「チッ・・・」

「ッ・・・夢、覚悟はできてんだろうな、アーン!?」

「誕生日おめでとうございまーす、跡部ぶっちょーう。んじゃ、さいならー」


キラッと星を飛ばしてそう言い残した夢は形振り構わず猛ダッシュでその場を後にする。
が、やはり跡部は当然追ってきて。


「待ちやがれぇええええええええええええええ、夢っ!!!!!!!」


こうして、晴れていつも通り。
夢と跡部の鬼ごっこ(本気)が始まったのであった。

普通じゃつまらない
私達が普通に甘い雰囲気でバースデイなんて、つまらないものね!
誕生日だって、こうじゃなくっちゃ!!

(あはははっ、あっちょべさんこーちらっ! てーのなるほーうへっ)

(夢ーっ!!!)

(あははははっははははっ、お腹痛いっ!!)

(あーあ、どうすんだよ・・・)
(僕らが用意したケーキはどうしましょう?)
(暫くはパーティーできないC)
(・・・ウス)
(ゆぅうううううううううしぃいいいいいいいいいい)
(やるねー、夢)
(どうでもいいんで、誰かさっさとあの人達止めてきてください)

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*Atogaki*
跡部さん夢を書こうとするとギャグになってしまう不思議・・・。
お誕生日おめでとうございます、跡部様。
そして、やられ損な侑士くんは当サイトではいつものこと(ry

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