枢さまの壁ドン 「聞いてよ聞いてよ枢!!」 「・・・・・・」 真昼間だというのに。 空気も読まず、考えなしに枢の部屋へと訪れた夢。 部屋に入るなり夢は、無視して寝続ける枢のベッドへ飛び乗る。 「ねぇねぇ枢〜!! 起きてよ〜!!」 「・・・・・・」 「拓麻に聞いたんだ。今、"壁ドン"っていうのが流行ってるんだって!!」 「・・・・・・」 「それでねそれでね! 私も枢に"壁ドン"されたいなーって・・・」 寝ている枢の体を揺さぶり、夢は興奮気味に言うが。夢は気づいていない。 部屋の空気が変わり始めていることに。 のそりと起き上がった枢の表情が不機嫌度MAXを現していることに。 「壁ドン!壁ドン!」 「・・・夢は、"壁ドン"をしてほしいんだ・・・?」 「うん! はやくはやくーっ」 「そう・・・君は、変わっているね・・・」 なら、お望み通りしてあげるよ。"壁ドン"。 そう言った枢に、パァッと顔色を明るく変えた夢。しかし。 ビュンッ、と夢を何か風のような衝撃に似た何かが通り過ぎて行ったと思えば、次の瞬間だ。ドンッ!!と大きな音をたてて。 「え・・・?」 「ほら・・してあげたよ、"壁ドン"」 恐る恐る後ろを振り返れば、元々壁だったところがすっぱりと半壊。 パラパラと残骸が床に落ちる。 さぁっ、と勿論夢の体温が一気に冷め、表情は青ざめた。そして、ぶるぶると小刻みに震えだせば。 「おやすみ、夢」 「お、おおおっ、おっ、おやすみなさい」 これぞまさに、"壁ドン"。 (たたたっ、拓麻の言ってたのと違うぅううううっ!!! わぁああああああんっ) (夢) (ふぁい!?) (静かに・・・ね?) (ははっ、はい!! ごめんなさい!!) ■あとがき■ 枢さまが壁ドン・・・? そんなの、どうせ壁が抉れるか壁が壊れるに決まってるでしょう!!!! というか、まず壁ドンというものを理解して無さそう・・・この坊ちゃんどもは・・・ [しおり/戻る] |