ショートノベル | ナノ


嘘だと・・・


「悪い・・・夢」


なんて。
悪い嘘だと、思った。
日付は4月1日。
もうすぐ、4月2日になろうとしているけれど。


「アンディ・・・」

「ごめん。・・・俺は俺の道を、」


聞きたくない聞きたくない。
ねぇ、嘘でしょう?
エイプリルフールの嘘でしょう?
嘘、だと言ってよ・・・。
いやだ。ねぇ、そんなの。


「もう、決めたんだ・・・。嘘じゃ、ない」

「そ、んなっ・・・。いやだよっ・・・ねぇ、アンディ!!」


言って。
嘘だって。
いつもの、へらへらした笑顔で。
"嘘に決まってんだろ、夢。騙されるなよ、バーカ"って言ってよ。
これは。これはっ。


「ごめん、夢。・・・愛してた。いや、愛してる。例え、歩む道が違っても・・・ずっと、俺は夢を愛してる」

「っ・・・アン、ディ・・・」


涙が、零れた。
抱きしめる彼の温もりを忘れないよう、離さないよう、私は強く彼を、アンディを抱きしめた。

嘘だと・・・

あいしてる、アンディ

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エイプリルフールは午前中だけらしいっすね。

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