ショートノベル | ナノ


たくまといっしょ


どうも、一条拓麻です。
今日は実は・・・


「枢、誰こいつ」

「一条拓麻だよ」

「いちじょう? ・・・ああ・・・」

「はじめまして。僕は一条拓麻。えっと・・・」

「・・・進」

「進ね。よろしく、進」

「・・・それなりによろしく」


お友達が一人増えました・・・!!!
名前は進って言って、純血の家庭だけど、枢と同じ生き残り。枢と同じ、純血種で一人の吸血鬼。詳しいことは知らないし分からないけど・・・一つだけわかったことがある。
この人は・・・。進は・・・。


「拓麻、枢・・・行ったよな? じじいのとこ」

「え? ああ、うん(じじいって・・・)」

「じゃあさ・・・枢に悪戯でもしない?」

「・・・え?」

「今、枢呼ばれて行っちゃったし・・・。戻ってきたときに驚かせてやろうぜ!」

「・・・」


全然、枢とは違う。同じところは多いけど、全っ然違う違いすぎる。というか、本当に吸血鬼? 本当に純血種?
僕は好きだけど、なんだか僕の知ってる純血種じゃない・・・。なんというか、すっごく人間っぽい。僕が言うのもアレだけど。


「楽しそうだけど、枢は後が怖いし」

「よし、じゃあさっそく準備だ。どうしよっか?ベタベタァーだけど、足を引っ掛ける? あ、でもそれじゃあアイツの事だし避けそうだよな・・・。バケツに水を・・・」

「待って、待って!! 僕はまだやるなんて一言も・・・それに、流石に水は・・・」

「・・・君、ヘンにマジメなんだね。でも」


進は溜め息を吐いて笑う。
うわぁ、なんてキョーアクな笑みなんだろう。僕もう帰りたい。・・・あ、ここが僕の家だった。あと、ここが僕の部屋だった。
こんな笑み、初めて見るよ。こんなにも悪意と興味と好奇心に満ちた笑みなんて・・・。枢は絶対に見せないよね。


「でもね、拓麻。俺がやるって言ったら絶対にやるんだよ。俺、言ったことは必ずやらないと、やり遂げないと気に食わないんだよねー・・・」


さ、やろうか拓麻。なんて、笑顔で進は言うけど。


「・・・わかった、やろうか」


目が笑ってないよ、進。
勿論、僕はこの後進の悪戯を手伝って、枢からの仕返しと、お祖父様からのお叱りを受けることになった。・・・けど。
案外楽しかったし、またやりたいなー・・・なんて思ったりして。
あ、勿論進は枢からの仕返しなんて物ともしないし、お祖父様から緩いお叱りを受けたけど、寝てたから多分聞いちゃいないんだと思う。
その後、進の悪戯で水を被った枢は当然のように風邪をひいて、また僕が(進は端から聞いちゃいない)お祖父様に怒られた。進は、「純血種でも、風邪ひくんだね」なんて笑いながら言ってたっけ。

たくまといっしょ
(あー、そんなこともあったね〜)
(懐かしいよねー)
(君たちを会わせた僕が間違ってたよ・・・。君たち、特に進の悪戯は年々度を越していくからね)
(えー、枢ひっどぉ〜い!)
(進、キモチワルイよ)
(でも本当に枢と進は昔から仲良しだよね)
(それは死んでもないかな)(それは死んでもないよ)

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