「ずっと、ずっと」 ひとりポツンと焼け焦げた絵画の前でソレを見つめ佇む金髪の少女・・・メアリー。 その絵だったものは黒く焼け焦げ、燃えた匂いまで放っている。 先ほど、この絵画を燃やした少女と男は元の世界へ帰ってしまった。 残されたのは、燃えた絵画とメアリー・・・そして、彼女の作った青い人形たち。 そして。 「あの子たち・・・帰っちゃったんだ、メアリー?」 「進・・・? うん、仲良く帰っちゃった。私・・・やっぱり外になんて行けない、のかな?」 「メアリー・・・」 涙ぐんだ声で呟いたメアリーに、進は静かに近寄って優しく抱きしめた。 優しく抱きしめ優しく頭を撫で。 「大丈夫。外に出れなくても、僕がいるじゃないか。僕が、いるから。僕がメアリーをひとりにしないから」 「進・・・ありがとう。・・・もう少し、このままでいていい?」 「いいよ。メアリーの気持ちが晴れるまで、ずっとこうしててあげる。大好き。愛してるよ、メアリー」 抱きしめあう少女と少年。 少女メアリーは気づかない。知らない。 歪んだ笑顔で進が笑っていることに。 気づかれなきように、ここに来た少女と男を手伝って外へ帰らせてあげたことを。 全て総て、メアリーと2人きりでこの世界にいるために。 こうなるように仕組んだのが進であることを。 メアリーはきっと、一生気づくことはないだろう。 彼と。進と2人きりでこの世界にいる限り。 「メアリー・・・ずっと、2人一緒だよ」 「うん・・・。いっしょ。進と離れない」 「そうだね。離れないよ。ずっと2人きりで一緒」 ぼくから にげるなんて ゆるさないよ。 そとになんか だしてやらない。 ぼくの いとしのメアリー。 ずっと いっしょにいるんだ。 はなさない。 「ずっと、ずっと」 [しおり/戻る] |