ショートノベル | ナノ


バカップル


「あーおーいーちゃんっ!!」

「きゃっ!?」


背後から葵を抱き上げて抱きしめた進。
そして、そのままなでなでと進は葵の頭を撫でだした。
傍から見れば、仲の良い兄妹か、それとも・・・子供好きの変態にしか見えない光景。
暫くして、進は葵を地面に下ろしてまた頭を撫でる。


「な、なにすんねん進はん!! 急に、びっくり、」

「だーって、葵見つけたらなんかなでなでしたくなっちゃったんだから仕方ないじゃーん」

「意味わからへんって」

「えへへ〜」

「えへへ〜とちゃうわ、進はんのバカ!」


「まったく・・・」と葵は溜め息を吐く。
けれど、進を見る葵の目は優し気で、それを見てか進はでれーんとこれまでにないくらいに顔をゆるゆるに緩ませ、笑った。
もしここで、誰かが「キモい」と罵声をかけても、今の進には褒め言葉にしかならないだろう。


「大っ好きだよ、葵〜」

「は、はぁ!? ほんま意味わからんわ、今日の進はん」


ニヤニヤと言う進と、頬を朱に染めてそっぽ向く葵。
そう。いわゆる。

バカップル
「中学生のドコがいいんだよ、進? ガキだぞ、ガキ」
「賢木にはわかんねーよ。つか、人をロリコンみたいに言うな」
「だって、ロリコンだろ?」
「違う。俺のは、葵限定だ。ロリに興味はない。方言メガネっ子萌え」
「駄目だこりゃ・・・」

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