ショートノベル | ナノ


夢かな、それとも・・・


最近、夢はよくある歌を歌う。
短い。短い。だけど不思議な歌。


「私は―――あなたのしもべ・・・だけどなんの役にも立たない・・・だって私はただのマペット」


「私は」から「あなたの」までの言葉が、いつも聞き取れない。
だから、不思議と夢に聞くけど。


「歌・・・? なんのこと?」

「だからさ、最近夢よく歌ってるじゃないか」

「はぁ? 歌ってないよ。私歌うの好きじゃないもん」

「え? いや、だって」

「もう、なんなの? 今日の幸村変だよ? 大丈夫?」

「・・・いや、大丈夫。ごめん、今のは忘れて」

「ったく・・・」


確かに、歌ってたんだ。絶対に・・・。
あれは幻聴とかじゃない。俺は本当に聞いたんだ。
なのに。・・・夢、だったのか? いや、でも・・・。


「そんな事より、明日は何の日かわかってるんでしょうねー?」

「え? ・・・えーっと・・・夢の誕生日、だろ? 覚えてるよ、それくらい」

「そっ。なら良かった。忘れてたらただじゃおかないんだからね!!」

「ふふ、わかってるって」


でも、あまり現実味もなかったし。
夢、だったのかもしれないね。そう・・・夢。


「あなたは知らなくていいの・・・」

「え・・・? 夢、今、何か言ったかい?」

「いや? 何も? 本当に今日の幸村は変ね」


クスクス・・・。
クス・・・クスクス・・・。

俺は、首を傾げつつも、笑う夢と教室に戻っていった。


夢かな、それとも・・・

知らなくて、いいんだよ。

幸村は知らなくて・・・。

ねえ、―――・・・?

〜後書き〜
まあ、わかる人にはわかるでしょう。
ク○ヨン○んちゃんの、劇場版 ヘンダーランドの大冒険、でしたっけ?
あれのパロディてきな・・・。
あの、トッペマの歌、好きなんですよね。不思議な感じで。
小さいころはあんなに怖かった歌が、今は自然と懐かしく感じてしまう・・・。
うーん。

[しおり/戻る]