まこたんとお勉強 何度聞いてもそれは、私には何かの呪文にしか聞こえなかった。 「だから、ここでmeetは過去分詞のmetになって・・・って、おい聞いてんのかよ、夢」 「全く聞いてません」 「・・・ふはっ、いい度胸だな、夢。テメェがウザったく泣きついてくるから仕方なく仕方なくこの俺がお前に英語を教えてやってるってのによォ・・・」 「英語なんて滅べばいい」 「テメェが滅べ、バァカ」 「まこたん冷たぁい」 「誰がまこたんだ」 ぐでーっと英語のプリントと教科書と筆記用具の出されてるテーブルに、私は突っ伏する。 ああん、もう無理溶ける。癒しも萌えも糖分も足りない。 まこたんに無理言って英語を教えてもらってるって言うのに、憶える気が欠片もない私の頭は何一つ記憶してはくれない現実。 本当に、切実に悲しいです。 「他の教科なら満点なんだけどなー」 「ふはっ、俺は全教科満点だぜ」 「ぶーっ、自慢かよぉーっ」 「ったりめーだ」 「うぬぬっ・・・私だって、頭良いんだぞ。英語はできないけど英会話はできるんだぞ。英語なんてぺらっぺらなんだから」 「だからなんだよ。それでもテストで0点ばっか取ってりゃ意味ねーだろうが」 「・・・・・・うわぁーん、まこたんの意地悪ぅううううううっ!!!!」 辛辣なまこたんの言葉に、ガラスよりも最弱な私のハートはズタズタよ。ブロークンハートよ。 でも、他人の不幸が大好きなまこたんはずっと人の悪い顔でにやにやにやにや。 「くっそぉ・・・時代遅れのマロ眉のクセに」 「あ゛ぁ?」 「おっと、つい本音が」 「テッメェ・・・夢・・・」 口元をピクピクと引くつかせるまこたんの額には青筋が。 あ、まこたん怒った。・・・なんて思った時には、時すでに遅し。ってわけで。 「にっげろぉおおおおおおおお」 「ふはっ、夢ごときが俺から逃げられると思うなよ、バァカ!!」 勉強は放置で大逃走劇のはじまりはじまり。 [しおり/戻る] |