ショートノベル | ナノ


雪の日


ふわり、と白い氷の結晶が鼻に降り落ちた。

「雪か・・・」
「通りで寒いわけだ」

オレとカカシは二人して曇り空を見上げた。
すると、ふわりふわりと幾つもの雪が降り落ちてくるのが見えた。

「もう冬だな」
「そうだねぇ・・・。もう炬燵でみかんの時季だ」
「ハハッ、それもそうだな。じゃあ、帰りにでもみかん買って帰るか!」
「おっ、いいね。なに、進の奢り?」
「あ? あー・・・まあ、そうだな」
「ラッキー!」
「その代り、夜はお前を充分に頂くからいいよ」
「・・・・・・じゃあ、いい。自分で買いマス」
「あはは、遠慮しなくていいんだぜ?」

笑って言えば、カカシは眉間に皺を寄せフイッとそっぽを向いた。
寒いからか、それとも照れてるからか。カカシの耳が朱に染まっていて、オレは笑みを浮かべた。
―――かわいいなぁ。

「そ、それより! もう帰らない? 寒いんだけど」
「おー、そうだな。早く帰って夜の準備を、」
「雷切られたいの?」
「・・・ちぇ」

にっこりと笑顔で言ってきたカカシにオレは折れてやる。
笑顔で言う事じゃねぇだろ。それに、それなりに本気で言うのやめてくれませんかね。
おお、こわいこわい。

「つか、お前まだ仕事残ってんじゃねェの?」
「んー・・・それもそうなんだけどね。ま、偶には息抜きも必要でしょ!」
「そりゃそうだな。・・・でも、それは自分から言う事じゃないと思うぞ」
「大丈夫、残った今日の分の仕事は明日進にも手伝わせるから」
「はは、イミワカラナイナ!」
「火影命令ね」
「職権乱用だぞ!!!」

冗談じゃない!と叫んでやれば、「いいじゃない」とカカシは笑みを向けてくる。
手伝ってよ、と。
こういうとき、こいつは心底狡いよなあ・・・と思う。
だって。

「恋人同士なんだし。恋人の手助けくらいしてくれても、さ」

そうやって、微笑んで言うんだから。
オレがお前のその顔に弱いの知っててそれをやるんだから。
ハァ、と盛大に溜め息を吐いて、オレはカカシを抱きしめた。

「ちょっ・・・」
「仕方ねェなあー! お前のチョーやさしー彼氏が手伝ってやるよ!」
「ほんと、」
「だから、やっぱり其の為の動力源として恋人にフル充電してもらわないとな!」
「はぁ!?」
「よーっし、今夜はオレ頑張っちゃうぞー!」
「ちょっと、進何言って、」
「まぁーったく! もうめーっちゃくちゃ愛してるぞ、カカシ!」
「っ!」

冷たいカカシの耳にキスを落とす。
まあ、恋人から可愛く頼まれたら断れねェよな!
腕の中で暴れるカカシを強く抱きしめてから横抱きに抱き上げて、オレは駆けだした。

「ちょっ、降ろせバカ!」
「早くオレらの愛の巣に帰ろうなー。あ、でもその前にみかん買うんだっけか?」
「っ・・・もういい! バカ進!!」
「えー、なにー? オレの事愛してるって? 可愛いなぁ、カカシは」
「その幸せな耳を今すぐ噛み千切ってやりたいよ」
「カカシになら噛み千切られてもいいかな」
「・・・・・・マゾ」
「カカシ限定のね」
「ヘンタイ」

なんやかんや言って、それでもオレの腕の中で大人しく抱かれてるんだから。
やっぱり可愛いよな。

『雪の日』


この後、当然オレは夜、カカシをおいしく頂きましたとさ。
あ、勿論みかんも忘れずに買って行ったよ。
こたつで幸せそうにみかんを頬張るカカシの可愛さといったら人を殺せるレベルだと思いました。(まる)

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