メルヘンゲット同盟 〜結成〜




メルヘンゲット同盟 〜結成〜


昼休みの教室でのこと。

「「……はぁ……」」

同じタイミングで溜め息をついたのは、いのとサクラ。

「ど、どうしたの?二人とも。」

ヒナタの問いにサクラが答える。

「……ヒナタ、何であんたは余裕な訳!?」

「な、……何が?」

「クリスマスよ!ク・リ・ス・マ・ス!」

机をバンッと叩き、拳を握りしめるいの。

(あっ、そうだよね。もうすぐクリスマスかぁ……。一年経つのってあっと言う間だなぁ……。でも、それがどうしたんだろ?)

二人が溜め息をつく理由がわからず、首を傾げるヒナタ。

「ヒナタ、本当にわからないの!?クリスマスと言えば、大好きな人と過ごしたい、メルヘンに溢れた日!……なのに、私ら3人ときたら……。想う相手はそれぞれ居るのに、未だフリーじゃない!しゃーんーなろーっ!!!」

いの同様、拳を握りしめ、何か怒りや苛立ちをその身に纏うサクラ。

「そ、そうだね。」

「だーーーっ!!もうあんたは煮え切らないわねー!あんた、ナルトとクリスマスを過ごしたいとは思わないの!?」

ピシッとその場に固まるヒナタ。

(わわわわ、私が……な、な、ナルト君とく、クリスマスッ!!!!!)

少し想像しただけで、ポンッと音を立てるかのように一瞬で真っ赤になるヒナタ。

それを確認し、目をキラリと光らせ、ニヤリと笑ういのとサクラ。

「今から、私達、同盟を組むわよ。」

いのが自身の掌を、机の上に置く。

「えぇ、やろうじゃない!メルヘンゲットの為に!」

サクラがいのの手の上に、自信の掌を重ねる。

「えっ、えっ!?」

「ヒナタ、覚悟決めなさーい。あんた達いつまでも友達以上みたいな関係で言い訳ー?」

「そうよ、ヒナタ!待ってるだけが乙女じゃないわよ!時には純情アタックも必要よ!」


言い寄る二人の気迫に圧され、ヒナタも掌を重ね、クリスマスのメルヘンゲット同盟が誕生したのであった。


「そうと決まれば……♪」

鞄をゴソゴソ探るいの。

「これこれ!遊園地の無料券!うちのお得意様に貰っちゃったのよねー。」

「いの!あんたやるじゃない!」

「ふふーん♪感謝しなさーい。これを元手に男共を誘い出すのよ。いい?先ずは私が無料券とヒナタを餌にナルトに声をかけるわ。」

「ふぇっ!い、いのちゃん。何で私が餌なの?」

「まぁ、いいから。……んで、ナルトにサスケ君とシカマルを誘ってもらうのよ。当日は、勿論バラけて行動するわよ。私はアトラクションより買い物したいから、多分アトラクション待ちをめんどくさがるシカマルを連れ出せるわ。」

「そうね。良い考えだと思う。サスケ君とナルトは仲良しだけど、いのがヒナタを餌にナルトに声をかけるから、こちらもバラけるのは問題無さそうね。」

「えっ!?な、何で?」

「まぁ、いいからいいから。」

訳のわからないヒナタを余所に、いのはナルトに声をかけ、いのの思惑通り、それぞれの意中の彼を誘うことに成功したのであった。







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