小説 | ナノ



アロマなあの子
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僕の目の前にいるみょうじなまえは、清楚と言う言葉が合う。制服はきちんとネクタイを絞め、スカートは長すぎず短すぎていない。
学校の帰りに遊作と観覧車を後にカフェナギに連れられ、プレイメーカーの協力者である草薙さんとみょうじさんを紹介された。草薙さんと遊作は、車内で話し合って、僕とみょうじさんは外で待っている。

「貴方がソウルバーナーね。遊作を助けてくれてありがとう。えっと…」
「穂村。穂村尊。」
「穂村くんね。私はみょうじなまえ」
「みょうじなまえ…。じゃあ君がアロマージ使いの…!」
「え、ええ。なんか照れるわね」

彼女は口元を手で隠して照れ臭そうに笑った。確かに彼女は清楚だ。でも大和撫子って言葉も合う気がする。

「ごっほんっ!」

突然デュエルディスクから不霊夢が大きな咳払いが聞こえ、僕は左腕を胸元に上げた。

「なまえか…良い名だ。私は不霊夢。漢字で不屈のたましい夢にあらずと書いて不霊夢。どっかの可愛い名前とは違ってかっこいいだろ」
「ええ、かっこいい名前ね。でも私はAIちゃんの名前も好きよ」

その説明一万回は聞いた。僕は呆れた目で不霊夢を見るが、みょうじさんは子供と話すよう対応する。

「ところでなまえ。キミは今、お付き合いをしている男性はいるかね?」

と、突然不霊夢がみょうじさんに聞き始めた。

「お付き合い…?ボーイフレンドってこと?」
「そうだ」
「おい不霊夢、何聞いてるんだよ…」

下手したら、セクハラと訴えられる質問。いや、訴えられる訴えられない以前にみょうじさんに対して失礼な質問だ。また不霊夢が余計なことを言い出す前にどうにかしないと。

「いないわよ」
「プレイ…、じゃなかった。藤木遊作とは何にもないのだね?」
「遊作とはただの友達よ」
「そうか」

不霊夢はうつ向いて腕を組んだまま黙って考え事をし始めた。二、三秒考えて、決心がついたのだろうか一度頷き、また喋り始める。

「だったら尊と付き合う気はないか?」
「なっ!?お前っ…!」
「穂村くんと?」
「見た目はフニャフニャだが心の芯は…」
「フっ…!不霊夢!!キミはっ…、なっ、何て事を言っているんだ!?」

一歩後ろに下がって、僕の顔を不霊夢の顔の前まで持ってくる。不霊夢はいつものように腕を組んで堂々としている。
ああっ!頭の中が混乱して上手に言葉を発声できない!

「みょうじさんごめんね!」
「尊、なまえは見た通り綺麗で清楚だ。それにしっかりしている。キミが彼女を作るならなまえのような女性がぴったりだ」
「もう黙ってくれ!」
「ふふっ」

後ろから控えめで可愛い声で吹き出すみょうじさんの声が聞こえた。おそるおそるみょうじさんを見ると、みょうじさんは肩を小刻みに震わせて笑っていた。

「ごめんなさい。穂村くんと不霊夢は仲が良いのね」

笑い続けるみょうじさん。ふと、不霊夢と目を合わせた。さっきの不霊夢の質問の無礼について僕は何て言えば良いのか戸惑った。

「ごめんね不霊夢。私、誰かとお付き合いするなんて今まで考えてもいなかったの。だからもう少し時間をかけて考えてもいいかしら?」
「そうだったのか。それはすまなかった」
「ううん。気にしないで」

不霊夢の質問にみょうじさんは大人の対応を見せた。

「おーい!お前ら作戦が決まったぜー!」

アイの声に反応して車の方を見と、車から遊作とAIが顔を出していた。

「それじゃあ、行きましょ?」

みょうじさんは僕に優しく誘いの言葉を良い、車の元へ歩いていった。
不霊夢が僕の名前を呼んでいるのに気づいて耳を傾ける。

「…キミには高嶺の花だったかな?」


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