小説 | ナノ



おそ松さん
8/13



私の親友が地下アイドルを始めた。名字の橋本と彼女が猫好きで、猫の鳴き声のニャーを取って橋本にゃ〜と名乗った。
最初は猫耳や大きな猫の手の衣装や大勢の前で歌うのに恥ずかしがっていたが、ライブの回数を重ねて慣れたらしい。でもライブ寸前の緊張は慣れてないので、始まる前は私が話し相手にをする。


「それでさ……!やっばっ、橋本ライブ始まっちゃうよ!」
「にゃ!?もう時間!?」
「ごめん気づかなくって!」
「ううん、大丈夫にゃん!それじゃあ行ってくるにゃん!」
「うん、頑張ってね!」


橋本を見送り、私も観客席に向かう。
橋本にゃ〜の人気は盛大で、たくさんの人が橋本にゃ〜の名前を呼ぶ。橋本は元々あまり体力が無く、歌うだけでも疲れてるとゆうのにライブ後の握手会を笑顔でやりとげる。凄いよね。
橋本が握手会を終えるまで私は近くの喫茶店で待っている。
握手会の時間は日によって違う。一時間だったり、二時間だったり…長いときは4時の時もあったり。今回は一時半で終わる予定らしい。
スマホのアプリで適当に時間を潰すと、橋本が入って私がどこにいるのか分からずキョロキョロしている。橋本を招くように手を振ると、泣き目でこっちに来た。


「わーんなまえー!もうやだー!」


どうしたの?と聞くと、ファンが嫌だ、言った。橋本はファンを大切にしているので決して影でファンの愚痴は言うなどは今まで無かったが、今回は相当傷ついたらしい。


「橋本、何が嫌なの?このなまえちゃんに言ってみな?」


私が飲んでいた林檎ジュース渡して一口飲みあのね、と話してくれた。

話の内容はファンの兄が弟の握手会に乱入して橋本に弟とセックスしてくださいと頼み、他に色んな事を言ったらしい。

中学生の頃男子と下ネタの話で盛り上がっていた私とは違って橋本はそうゆう話はしなくて、苦手としていた。


「どうしようなまえ…」
「気にしない方がいいよ。奢ってあげるから好きなの頼みな?」
「でも…」
「だって名前知らないし、顔がそっくりな双子なんでしょ?諦めな」
「なまえ酷いにゃん、こっちは本当に困ってるのに…」


橋本は肩を上げて下を向く。

私は騙されないぞ橋本。だって橋本の膝の上には…


「あのね橋本、落ち込んでいるなら膝の上に置いてあるメニューを見るの止めなさい」
「…やっぱりバレてたにゃん?」
「ハァ…落ち込むか選ぶかどっちかにしてよ」
「でも本当に悩んでるのはにゃん」
「分かってるって。デカパンさんに頼んで今度からは私からも握手会に付いてくから」
「本当にゃん!?」


嬉しいにゃんと言えば膝に置いていたメニューを堂々とテーブルの上に出し、店員さんを読んで注文をし始めた。


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