「あの…なんか、ごめんなさい」

「いや…○○のせいじゃねえよ」

シンタローは手を伸ばしてくれた○○に大丈夫、と一言断りを入れズボンについたホコリを数回叩き台所にもう一度立った。
○○がお手伝い致します。と言うと棚の中から茶碗を3つ取り出した。
シンタローは助かるよ、と鍋の中をかき回しながら疲れきったような声で答えた。

「…あれ、○○が他の物に触ることはできるのか?」

「へ?あ、はい。私が他の物や人に触ることはできますし、私が何か物に触れている時は他の人も私に触ることができるみたいです。」

「ふーん…変な体だな。」

○○はあはは、と笑いながらシンタローのそばに近づく。
シンタローはありがとう、と言いながら○○の方を見ると彼女の顔が自分のすぐ横にあったことに驚いてお玉を床に落としてしまった。

「わっ、大丈夫ですかシンタロー様っ?」

「お、おぉ…○○ってでけーんだナ、びっくりしたぜ」

「あ、いえ。私がでかいわけではなく、」

シンタローが落としたお玉を拾おうとし、ふと顔を上げると本来地面についていないといけない彼女の足が数センチほど浮いているではないか。
シンタローは驚きの声をあげ拾ったお玉をまた手放してしまった。
そしてここにはまともな人間はいないのか!と叫びながら地面を叩くことしかできなかった。
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