『あれ?さっき買ったイチゴジュースがない…!』
机に置いたはずなのに…!
わたわたと机の周りを探していると、ピカーン!と、頭にある人物が思い立った。
『まさか…!』
こんな幼稚なことをするのは、ヤツしかいない!
「名前チャーン、これ、なんやろうなぁ?」
ヤツは、右手を優雅に振り、そして、左手には私のイチゴジュースを持っている。
『またてめぇかあああああああ!!』
私は、近くにあった消しゴムをヤツ(標的)に向かって投げ飛ばした。
「っ…」
見事、クリーンヒット!
と思った瞬間
「ようやってくれたなぁ…!」
私の目の前に、鬼の形相をした、般若…もとい白石様が、仁王立ちしていた。
ヤツはドS
(いやー!怖いよ、お母さーん!!)
『ごめんなさいほんとすみませんでした許してください』
私は今、教室で土下座をしている。
なんでかって?
そんなの私が知りたいよ。
あれ?私、なんか悪いことしたっけ?あれ?
何もしてなくない?
『え、私、悪いことした?』
目の前に立っている、端正な顔立ちをした美少年(外見だけな!)に問いかけると、頭をものすんごい力で両手でぐりぐりされた。
「どの口が言ってんやろなぁ…!」
『いたいいたいいたいい゛ぃいい゛』
…なぜ白石はこんなに怒ってるのかと考えたけど、すぐ答えは見つかった。
なんたって私は、白石の顔(頬)に赤い消しゴムの痕をつけちゃったからね!
普段「俺の顔に傷をつけたら、許さへんで」って言われてるのにね!
まったく、私はいつになったら学習するんだか…。
「…まぁ、長い間、土下座っちゅーんのも可哀想やから、その辺で許しといたるわ」
『なんてお優しいの白石さま!』
そんなこと1ミリもおもってないけど。
まぁ、確かにそろそろやめてほしかったんだよね。
クラスの皆が、まるでイタイものを見るように私を見るからさ
「せや、」
白石は私を起ちあがらせると、その綺麗な顔をグイ、と私の顔に近づけた。
『へ、』
な、なに?ちょ、顔!顔近いよ!
て、照れるじゃん「一週間、俺のパシリやってくれるんやったら、手ぇ、うってあげるわ」
…私のときめきをかえせ!
『そんなのやだよ「返事は、はい、やろ?」…はい』
一瞬でもかっこいいなんて思った私が馬鹿だった。
「ははっ、楽しみやんなぁ?」
『…ソウデスネ』
楽しそうに笑った彼とは反対に、これからの事を想像して寒気がした。
(名前ー。茶、買ってこい、茶ー)
(はいはい)
(肩揉みしてや、肩揉み)
(はいはー…って顔傷つけただけで、なんでこんなことしなきゃいけないの!)
りほ様へ→
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