※黒バス×テニプリの混合
幸村の妹設定
幸村キャラ崩壊
ローファーの踵をトントン、と整えながら玄関を出ると、玄関前によく見知った顔の人がいた。
「あれ? 征十郎くん? なにしてるの?」
「ああ、名前。おはよう。そろそろ来る頃だと思っていたよ」
「おはよう。…部活はないの?」
「今日は全校集会だから部活はない」
「へえー。私のところは今日も朝練だよ。まあ、私はないけど!」
私の家の前に立っていた彼は、お隣の大きな家に住む人だ。一年ほど前に存在を知ったのだが、どうやら彼の家はものすごいお金持ちらしい(まあ、家を見ただけでなんとなく分かるけど)
学年は私の一つ上で、お兄ちゃんと同い年だ。だけど、彼の通う学校は私達とは違う。確か…帝光中、だった気がする。
「名前、」
後ろのほうでガチャリ、とドアが開ける音がしたと同時にお兄ちゃんが出てきた。低血圧からか、少し不機嫌そう。…いや、それだけではないかもしれない。
「…なんだい、また君か」
征十郎くんの顔を見た瞬間、お兄ちゃんは露骨に嫌そうな顔をした。同様に征十郎くんもだ。お互いそんな顔をしなくても…。
何故かは知らないのだけど、彼らはお互いをよく思っていない。私からしてみれば似たもの同士だと思うんだけど(前、お兄ちゃんに言ったら、無言で拳骨をくらった)
「俺で悪かったね。まあ、俺は名前を待っていただけなんだが」
ピシピシと効果音でもつきそうなほどの剣幕でにらみ合っていた彼ら。私の名前が出ると、お兄ちゃんは綺麗な形の眉をピクリと動かした。
「なんで君なんかが名前を待つの?」
「君に教える義理はないと思うが」
「…名前の兄なんだ。権利はある」
あ、そうだった。今日は途中まで一緒に行こう、って言ってたんだよね。
二人の会話を断片的に聞きながら、昨日積もった雪で遊ぶ。
雪だるま作りたいなー。でも、手がかじかんじゃうし…。というか学校行かなくちゃ。
「…そうか。そんなに聞きたいならいいだろう。
つい先日、俺と名前は付き合うことになってね。だから、今日は途中まで一緒に登校する予定なんだよ」
「……は?」
どす黒いオーラを放ちながらも目は同様を隠しきれてない、そんな表情のお兄ちゃん。
「そうなんだよ、お兄ちゃん! 私、昨日から征十郎くんと付き合うことになったの」
「ちょ、ちょっと待って。え? は? 何、名前と君は付き合うって…」
「事実だよ。良い報告だろう?」
ドヤァ…とでも言おうか。人によっては見たら少し殺意が湧くかもしれないのその顔で、征十郎くんはお兄ちゃんを見据えた。
「もしかすると、近いうちに君のことを「義兄さん」、と呼ぶ日が来るかもしれないね」
ああ、もう。神経逆撫でするようなこと言わないでよ、なんて思ったけれど、敢えてそれは言わない。何でかって? …面白いからに決まってるじゃない! というか、さりげなくプロポーズでもされた気がする。
対するお兄ちゃんは無言のまま、顔を俯かせ拳をぐっと握り締めている。あれ、泣いてる…?
すると突然お兄ちゃんは顔を上げ、彼をキッとにらむ。…またバチバチいってるよ。
「はあ? 君に「義兄さん」と呼ばれるだって? っは、笑わせないでくれるかい? そもそも君が名前と付き合うこと自体、俺は認めていないよ。そもそも認めるつもりなんかないから。
俺の可愛い可愛い妹を君なんかに渡すつもりなんかないんだよ分かったかい?」
いつもの綺麗な顔からは想像も出来ないほどの、般若の顔をしてらっしゃる。怖すぎて直視できない…! 笑ってるつもりなんだろうけど、笑えきれてないよ。それは征十郎くんも同じだ。
ふと、時間が気になり、腕時計を見ると、兄の部活が始まる20分前だった(いつもより10分遅い)
「…その、話の途中悪いんだけどさ、お兄ちゃん、もうすぐで部活始まっちゃうよ?」
流石のお兄ちゃんでも、遅刻なんかしたら真田さんの鉄拳を食らわずにはいられないだろう。それは、勘弁してほしいから。
私の言葉に反応したお兄ちゃんは、チッと、小さく舌打ちすると、征十郎くんに「…覚えてろよ」と残したあと、私のほうへ向いて、「じゃあ行ってくるね、こいつに変なことされたら俺をすぐ呼ぶんだよ。分かった?」、といつもの優しい顔に戻って、頭を撫でられる。視界からお兄ちゃんの姿が小さくなると、征十郎くんに無言でその撫でられたところを、今度は彼の掌で撫でられた。
―それからお兄ちゃんからの征十郎くんと私の交際についてのメール、約10件が届くのは、また別のお話。
(…お兄ちゃんを攻略するのはまだまだ早いね)
(…ああ、簡単だとは思ってはいなかったが…。あそこまでシスコンで過保護だとは思わなかったよ)
香里奈様へ→
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