※付き合っています
二学期初日の今日。学校の門を潜り抜ける。一瞬強い風が吹いて、髪の毛がなびいた。そのときに耳元がきらり、と光る。
そう、今日の私はいつもと一味違うのだ!
「はよーっす! 名前って夏休み開けてもホントいつもと変わんねぇ…え!? 何お前、ピアス開けたのかよぃ!?」
『へっへーん。よく気づいたなブタ』
「ブタじゃねぇよふざけんな」
『かっこいいでしょー? 羨ましいでしょー?』
後ろから声を掛けてきた彼は意外と早く、私の変わりように気づいたようだ。
ブン太にしては上出来だ。
「おい、無視すんじゃねぇよ。…地味にむかつくなその言い方」
わざとらしく彼に耳元で光るピアスと見せびらかす。うわー、顔が凄く悔しがってるよ。だってこの間ピアス開けたいって言ってたもんね!
「つーかそれ、校則違反じゃん。先生に見つかったら怖いぜ?」
『校則ってのは破るためにあるんだよ』
「古ぃよ」
ぶつぶつぶつぶつ文句を言うブン太。
なんだ、そんなに悔しいのか。ぐちぐちうるさいな。
『だったらブン太も違反じゃん! その髪の色!なんなの赤って。赤って!』
「はあ? 別にこれはいいんだよ。他の奴らだってやってんじゃねーか。仁王とか幸村君とか」
『ゆっきーはわかんないけどさ…。てか変なこといったら殺されそう…。まあ、仁王はね。…って、みんなやってるからいいなんて小学生かお前は』
「違ぇし。それに俺はテニスで成績上げてるからいいの!」
『ムカつくー! 私みたいな凡人はそういうことなんてできませんからねー!』
キーッとコイツに食って掛かる。ずるいでしょ、テニスでとか!…私できないもん。
口論しながら足を進める。
あ、もうすぐで昇降口だ。
『でもピアス開けんの最初痛かった。今もちょっとヒリヒリするけど』
「ふーん…」
随分おとなしいな。さっきまで騒いでいたのに。隣で歩いているブン太を見ようとすると、
かぷり、
ピアスのある耳が生温かい。
あれ…?噛まれて…、
『噛まれてるー!?』
「うん」
「うん」じゃない、「うん」じゃ!
バッと噛まれた耳を押さえてブン太を睨み付ける。
『な、何すんの!?』
バクバクバク、心臓がうるさい。顔だって赤い、あーもうやだ。
「えー。なんかよぉ、ヒリヒリするっつってたから、噛んだらどうなるかなって」
「まあ、甘噛みだけどな」にやりと笑ったブン太。コイツ絶対確信犯…!私が耳弱いの知っててやったな!
手に持っていたサブバでブン太の頭を思いっきり殴る。いってぇ!なんて、涙目になっていたけれど、そんなの知るか!
『ブン太の馬鹿!』
顔なんか見れるわけがなくて、逃げるように昇降口へ駆けた。
あーもうやだ!まだ感触が残ってる…!
校則は破るためにあるんだよ
title by 無気力少年。様
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