「やあ、名前」
『…なんでいんの』
「今日も可愛いね」
『人の話聞いてる?』
どういうことなの。
放課後になったから帰ろうと思って門を出たら、そこにはスタンバってる魔王こと、幸村がいるとか。
もう一度言おう。
どういうことなの。
はあ、と思わず溜息が出た。これも今日までで何回目だろうか。
『…あんた暇なわけ?』
週に2度ほど神奈川の立海から東京の青学までわざわざ来るなんて。
暇だとしか思えない。というか、あんたテニス部でしょうが。
「暇とかそういうわけじゃないんだ。俺はただ名前に会いに来ただけだよ」
『ドヤ顔で言われても』
暇なんじゃん。何かっこよく言っちゃってんだよ。馬鹿だろ。
なんかもうニコニコ笑いながら話しかけてくる幸村を、相手するのがめんどくさくて不意に時計を見ると、そろそろ6時。
…もうすぐで来るか。
「名前!」
『周助』
校舎側から走ってきたのは、私の幼馴染の不二周助。今日は委員会があったらしい。
『遅いよ、周助。そのせいでこんな変なのがいるじゃない』
「ごめんごめん。…ああ、コイツね」
「変なの、って酷いなあ」
周助は幸村に気がつくと、まるでゴミでも見るような目で彼を見据えた。
怖えええ…!
「いつまでここにいるきかな、幸村」
「そっちこそいつまで名前の隣にいるきかな、不二」
バチバチ。
お前ら笑ってるくせにどうして火花が散ってるの。おかしいでしょう。
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