朝、学校に登校し、教室に行くと皆から挨拶をされる。

「おはよー」
『おはよう!』
「今日もうざいくらいに元気だね、おはよう」
『おはよう。それは褒め言葉として受け取っておくよー』

いつも通りに席に着くと、隣の席の男子に声をかけられた。

「おはよう、苗字さん」
『おはよ、幸村く…!』

バッと鼻を押さえる。
いかん、いかん。彼を見た瞬間、鼻から赤い血らしきものが垂れてきた気がする。

「苗字さん?大丈夫?」
『だ、大丈夫で…、す、ブフッ

なんと、今日。幸村君は…

眼鏡をかけていた!


眼鏡男子萌え
(は、鼻血が…!)


「…本当に大丈夫?」

心配そうに私を伺う彼。いつもどおり優しいね!
だけど、今その優しさは遠慮してほしいな!お願いだからこっちを見ないでください、鼻血が垂れます。

眉目秀麗、見目麗しい幸村精市君は、普段眼鏡をかけない。
だからなぜ、今日に限って眼鏡をかけてきたのか。

『ゆ、幸村君さあ、どうして眼鏡をかけてるの?』

なるべく彼の顔を見ないように、手のひらで顔を隠しながら問いかける。見てしまったら、今必死に止めている血の滝が流れてしまうからね!
うう…、だけど隙間から見えるお顔もかっこいいです。

「ああ、これ? 最近視力が落ちてきちゃってね。だから今日から付けてるんだ」
『そ、そうなんだ』

意外と普通な答え。
私は、「眼鏡好きの女子をおとそうと付けてみたんだ」っていう回答を期待していたんだけど。…まあ、そんなのはないですよね。

悶々と考えているうちに、いつの間にか幸村君が目の前に。

『え、』
「ねえ、苗字さん」
『は、はい』

わざと彼は、ぐっと眼鏡の中央を上げて私にこう問いかけた。

「どう? 似合ってるかな?」
『―――ッ!』

声に な ら な い !
おそらく顔は真っ赤、耳まで侵食していることだろう。

『に、…』
「に?」

はてさて、幸村君は私を試しているのでしょうか。
そんな萌え萌え、私には耐えられません。

『似合いすぎだバカヤロー!』

そう彼の顔も見ずに、一目散に友人のところへ逃げていった。
私が逃げ去ったあと、幸村君が呆然と真っ赤になって立ち尽くしていたのを、私は知らない。


(…あんたどうしたの?顔真っ赤だけど)
(やばい、幸村君やばい…!)


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