『ブフウーッ!…は!?』
友人の発した言葉に、思わず飲んでいたジュースを吹き出しそうになった。
…いや、吹き出した。
「汚な!」
『失礼な』
ごほごほと、むせながらも反論。
だって、アンタが変なこと言うからじゃん。
「…まぁ、いいや。寛大な私が許してやろう。私の制服がお前の吹き出したジュースで汚れ、シミができたことぐらい」
『ありがたい話なのに、なんかムカつくな、オイ』
すかさず突っ込みを入れるが、彼女は聞く耳を持たないらしい。
「は!?じゃなくてさ。だって名前と幸村君って、幼馴染でしょ?
だから、ベタみたく幸村君のことが好きなのかなー、って」
『ないないない』
全力で否定。おまけに横に首も振る。
ありえないでしょ。
嫌よ嫌よも、好きなうち
(精市との思い出に、いいものなんかないし…)
「えー、何で?超いいじゃん、あんなかっこいい幼馴染。早々いないよ?」
『だからこそ嫌なんだよ、分かる?』
かっこいい幼馴染がいるということは、確かに嬉しい。
なんたって、かっこいいんだもん。いや、ホントに。
だけど、仲がいいとすれば、そのファン達の標的になるのは幼馴染。
つまり私ということだ。
『よく考えてごらんよ。大勢の女子にリンチされるってどうよ?怖いよ?怖いからね!』
ぶっちゃけ言うと、何回かリンチされたことがある。
やっぱり、精市がらみで。
『「お前なんかがー…うんたらかんたら」とか「キモいんだー…うんたらかんたら」とかさあ』
「うんたらかんたらしか、聞こえねぇよ」
『そう?まぁ、とにかくかっこいい人の幼馴染なんてやだね』
しかも、好きとか…
ないわー。
「でもさ、でもさ。幸村君、頭もいいじゃん。そこはどう?」
うーむ…。
『そこは……
イイ』
「いいんだ」
まぁ、頭いいっていう点は私も助かるからね!
ほら、現に…。
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