「総司!!」
聞き慣れた声がして、勢いよく襖が開けられた。
顔をあげると、眉間にしわを寄せた土方が立っている。
あぁ怒ってるだろうな、ひとごとのようにぼんやりと考える。
その間にも土方はこちらに向かってきて。
「よかった…」
「……え…?」
とんでくると思った怒声はいつまでたっても聞こえてこず、かわりに感じたのはふわりと温かいぬくもり。
数秒たってから自分が抱きしめられているのだと気づく。
「土…方さん…?」
彼の名を呼ぶ声がぎこちないものになったと、自分でも思う。
「頼むから…」
しばらく無言でそのままの体勢を保っていた土方が、ようやく顔をあげる。
まっすぐにこちらの目を見つめ、言葉を続けた。
「頼むから、あんまり心配かけさせんじゃねーよ」
そう言った彼の表情は今にも泣き出してしまいそうなほどに真剣で。
やりすぎた、と反省の気持ちが込み上げてくる。
「ごめんなさい…」
そう呟いて、おずおずと土方の背中に腕を回した。
抱きしめてくれたのが嬉しくて
(今回だけは、素直に謝ってあげます)
(…お前なぁ…)