「ねえ、蜻たん…」
自室。
ベッドに半身を起こして座った夏目はため息をついた。
というのも、ベッドの傍らには蜻蛉がいて。
無自覚にこちらが寝ようとするのを邪魔してくるのだった。
目にいいらしいブルーベリーを持ってきてくれるのは嬉しいが、そういう問題ではない気がする。
いわゆるありがた迷惑というやつだ。
本音を言えば、もう眠くてしかたがない。
百目の力を使ったあとは、いつもこうだ。
いよいよ彼を相手にするのも面倒になってくる。
彼には悪いがもう寝よう。
夏目は決意した。
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「蜻たん…僕もう寝るからね…?」
言うが早いか夏目はベッドに身を預け目を閉じる。
程なくして聞こえてきた寝息に、蜻蛉は息をついた。
「私を放置して寝るとは、なかなかのドS…」
蜻蛉はそっと呟く。
そして眠る彼の髪をそっと撫でた。
「…おやすみ」
最後にふとんを肩までかけてやり、蜻蛉は部屋を出た。
1つの愛情表現
(頑張った君に)
(おやすみなさい)
(お疲れさま)