屋上へと続く階段を上り、扉に手をかけた。
ギイ、と。
重々しい音をたてて屋上の扉が開く。
温かな風が吹き込み、佐助は目を細めた。
扉の外へ一歩踏み出しあたりを見渡すと、すぐに目当ての姿を見つけた。
「…才蔵」
日の当たる場所に寝転がっている彼の目は、閉ざされている。
あと5分で授業が始まるというのに、昼寝でもする気だろうか。
彼のそばに近づき、そっと名を呼ぶ。
「授業始まる。さぼるのよくない」
薄目を開いた彼に忠告を告げる。すると彼はふっと笑った。
「…ああ」
そうだな、と同意はしてくるものの彼が動く様子はない。
「…才蔵」
戸惑った佐助は、早く行こうと彼の袖を引いた。
すると急に腕をぐっと引っ張られる。
そして何かが唇に触れる感触。
「……!!」
キスをされたのだと気づくまでに数秒。
「な、何する!?」
ようやく状況を理解した佐助は、目の前の才蔵を睨みつける。
彼はいつも通りの表情で笑っていた。
昼休み、屋上にて
(…さて、行くか)
(………)
(…佐助?)
(……バカ)