喉が熱い。
灼けるような感覚と共に、激しい痛みが襲ってくる。


冷たい床に転がり、才蔵は胸を押さえた。体を丸め、激しく咳込む。

息ができない。


胸を刺す痛みは激しさを増し、意識が朦朧としてきたとき。


「……才蔵」


凛とした声が耳を打った。

何とか目を開けて声のする方に視線を向ければ、見慣れた姿が目に入った。


アナスタシア。
妙に大人びている幼なじみ。


「…毒を飲んだのね」


無表情の中に少しだけ感情を滲ませた声音で彼女は呟く。
そして何も答えられない才蔵の傍らに膝をついた。


伊賀の里では、毒に対して耐性をつけるために幼い頃から毒を飲む。
そして今日、才蔵は初めて毒を飲んだ。


「…耐えて」


彼女が才蔵の髪を優しくなでる。
彼女の冷たい手だけが、才蔵をこの世につなぎ止めてくれる気がした。



幼き日の



(死んでしまったら)
(意味がないわ)
(一流の忍になるまでは)
(どうか耐えて)




あとがき...

毒に耐性があるって言ってたから、きっとこんな修行したはずだよね!っという妄想から生まれた話です!!
アナと才蔵の幼なじみという関係にはとてつもない萌えを感じます(笑)


11.2/11 ナオ



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