―バンッ
「ザークシーズ=ブレイクッ!!」
突然扉が開いた。
「おまえというヤツはッ…ザーク、シーズ?」
入ってきたのは、仕事をすっぽかしたブレイクを探していたレイムだった。
が、怒っていたレイムが――否、その場にいた全員が動揺してしまうような状態に、ブレイクはなっていた。
「な…なん、でお嬢、様たちはそん、な…意地悪を、す、するん、デスカ?」
泣いていたのだ。
(ブレイク!?)
そして次に思ったことは、
(か、可愛い(ですわ)ー!!!!!)
(わ、私が何かしたのか?私なのか?)
(え…泣いてる?あのブレイクが?)
(ピエロにも涙があったんだな!)
けっこうバラバラで。
まずレイムがブレイクに近づき、
「どうして泣いてるんだ?」
と優しく問いかけた。
だがブレイクはただ涙を流すばかりで、レイムは困惑の表情を浮かべた。
泣いているブレイクを見て愉悦に浸っていたオズとシャロンは、それだけでは足りないのか、さらに怖い話を始めて、もっと泣かせようとしだした。二人の話をまともに聞いてしまったブレイクは、さらに激しく泣き出す。
ギルバートは、そろそろ大変なことになると思い、ブレイクに声をかけた。
「な、泣くな…大丈夫だから」
「そうだぞピエロ!怖いものは何もないぞ!」
珍しくアリスが同意してきた。
「こいつにはまだ仕事がありますので、ちょっと借りていきます!」
このやりとりで全てを察したらしいレイムは、まだ泣いているブレイクの手を引っつかむと、ブレイクを連れ出していった。
オズとシャロンは不満そうな顔をしたが、ギルバートはレイムに感謝した。
あのままだとどうなっていたか分からないからだ。
それにしても、ブレイクが泣くなんて…驚いた。
「ねぇシャロンちゃん!ブレイク可愛かったね〜!!」
「ええ!!あんなブレイク、初めて見ましたわ!」
「ピエロにも涙はあったのだな!」
「ね、ギルもそう思うよね?」
「あ、ああ…驚いたな…まさか怪談が苦手だとは…」
「だよねー!!」
でも。ブレイクの人間らしい一面を見られたことは嬉しいと思ったギルバートだった。
涙
(今度ブレイクが夜に外に出たときに、ちょっと脅かしてみない?)
(あら!いいですわね!)
(私もやるぞ!)
(おまえらいい加減やめてやれよ…)