深い色の中に強い意志を讃えた紫の瞳も、流れるような黒髪も。
僕の悪戯に対して怒鳴り付ける声も。
全部。全部好きだった。
ただひとつ、気に入らないことがあるとすれば、それは僕よりも近藤さんの近くにいることだけど。
そんなことも含めて彼なんだと気づいてからは、そんなことは我慢できるようになった。
そして今日。僕はある決意をする。
彼に思いを伝えること。
なぜ今この時機にそうしようと思ったのかは自分でもよく分からない。
ただ、今なら伝えられる気がした。
僕はひとつ深呼吸をして、立ち上がった。
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くるくると様々な感情を宿す翡翠の瞳も。
日の光を浴びて明るく跳ねる柔らかな髪も。
ときおり見せる今にも消えてしまいそうな表情も。
おそらくは自分の気を引こうとして仕掛けてくる他愛ない悪戯も。
全てが愛おしかった。
愛しいからこそ、見守っているだけで満足だった。
これから先、新選組の副長として自分は心を鬼にしなければならない。
なおさら、自分の思いはしまい込むべきだ。
…けれど。仮にあいつが他の誰かを好きになったとして、自分は誰かと幸せそうに寄り添うあいつを見ていられるだろうか。
そこまで考えて、ふっと嘲笑を零した。
自分はこれほどまでに独占欲が強かっただろうか。
数秒の逡巡のあと、俺は拳を握る。
やっぱり自分はあいつがいないとだめらしい。
あいつを幸せにするのは自分でないと気が済まない。
思いが叶わなかったときはそのとき考えればいい。
俺は思いを伝えるべく、目的の部屋へ向かって歩きだした。
僕らの想いが出会うまで、あと
(土方さん!)
(…総司!)
((伝えたいことが…))