コンコン。


少し控え目なノックの音が聞こえた。
読んでいた参考書から目をあげる。
どうぞ、と返事をすると、中に入ってきたのはお盆を持った双熾だった。


「このところ、勉強を頑張っていらっしゃるようでしたので…」


でも、頑張りすぎるのもよくありませんよ?


そう言って彼はお盆にのっていたマグカップをことりと机に置く。
ほんのりと甘い香りを放つそれは、ココアのようだった。


「あいつのことばっかり見てると思ってたけど、違うんだな」


ありがとう、とマグカップを持ち、素直に思ったことを口にしてみる。
あいつとはもちろん、凛々蝶のことだ。
それを聞くと彼は笑った。


「そんなことありませんよ。僕はみなさんのことを見ています。あなたは凛々蝶さまのお兄さまですし、ここにいる方はみんな凛々蝶さまの大切な人ですから―」


そういってふわりと笑った彼に笑みを返す。
彼のことが少しわかった気がした。



「さて…と。もうひとがんばりすっかな」


彼が出ていったあとの部屋。
なんとなく満ち足りた気分で、再び参考書に視線を落とした。


彼の本音






あとがき...

いぬぼく初小説でした!
…うん。意味がよくわからなくてごめんなさい。
双熾さんが連勝さんをお兄さまって呼ぶのが好きなんです。


11.2/5 ナオ






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