チェインが、砂となって崩れ落ちた。
同時に腕に走る激痛。
どくどくと溢れ出す真っ赤な血は、ブレイクの白い洋服を深紅に染めていく。
「さて、帰りマスカ…」
腕の痛みに顔をしかめつつ、くるりと向きを変えて歩き出す。
「おまえっ…どうしたんだその血!?」
屋敷につくなりギルバートに呼び止められた。
「いえ、ちょっと怪我しただけデスヨ」
大丈夫デス、と再び歩きだそうとする。
「大丈夫なわけないだろう!?だっておまえ見てみろ!」
ギルバートが指差した方を見ると、自分が歩いてきた道に点々と血の跡がついていた。
「ああ…すみません、汚してしまいマシタネ」
「そうじゃない!!早く手当てしないと…」
ギルバートはいきなりブレイクの怪我をしていない方の腕を取って歩きだした。
ギルバートの部屋にに連れて行かれ、ベッドの上に座らされる。
腕を出せと言われ、素直に腕を差し出した。
ギルバートは手際よく腕に包帯を捲いていく。
思わず感心してしまう。
「ギルバート君、手際いいんデスネ」
「まぁな」
ギルバートはこともなげに言う。
されるがままになっていると、だんだん眠くなってきた。
必死に瞼を閉じてしまいそうになるのをこらえていると、
「よし、終わったぞ」
とギルバートの声がした。
「…ありがとう、ゴザイマス…」
もう、我慢できない。
ブレイクはそのまま倒れるようにベッドに横になると、目を閉じた。
「あ!?おい、ブレイク!?」
ギルバートは突然ベッドに倒れこんだブレイクに驚きの声を上げた。
傷でも痛むのかと思い、慌てて抱き起こす。
苦しみに歪んでいるかと思われたその表情は穏やかで。
規則正しく寝息を立てていた。
(…ったく…)
ギルバートは眠ってしまったブレイクを抱きかかえ、息をついた。
自覚