「帽子屋さん…誘ってるの?」


熱のせいで潤んだ瞳で見上げてくるブレイク。


「誘ってマセンッ…ゴホッ」


「はいはい…分かってるよ」


ブレイクにニコリと微笑みかけ、ヴィンセントはブレイクの額に手を乗せた。
じわりと熱が伝わってくる。


「帽子屋さん…お薬飲まなきゃね…?」


そう言って、ベッドのそばのテーブルに置いてあった瓶の中身を口に含む。
そのままブレイクに口づけた。


「ん…っ」


細い喉がこくりと上下するのを確認する。


「寝てていいよ―」


ヴィンセントは、安心させるようにブレイクに笑いかけた。



ヴィンセント様が、今日は優しい―
朦朧とする頭で、そんなことを考える。
さっきだって、頭にのせていた布を取り替えてくれたし、薬まで飲ませてくれた。
ぼんやりと目の前の姿を見上げる。
視線に気がついたヴィンセントは、左右で色の違う瞳を優しげに細め微笑みかけてきた。


「どうしたの?」


その問いかけにゆるゆると首を振った。
ヴィンセントが頭に手を乗せてくる。
心地よい冷たさに眠気を誘われ、ブレイクは目を閉じた。



薬が効いてきたのか、眠たそうに瞳を閉じたブレイクの髪をヴィンセントはくしゃりと撫でた。
少し赤く染まっている頬に手を移す。
頬に触れた指先からは、まだ熱があることが分かった。


風邪を引いた時くらい、優しくしよう―
そう思い、頑張った結果がこうだった。
普段優しくしていないつもりはないのだけれど。
少しくらいは、優しく出来たのだろうか。
ブレイクの穏やかなその表情を見て、少し安心する。


「早くよくなってね―帽子屋さん」



大丈夫?






あとがき...

めっちゃ久しぶりの更新!
そして何気に初めてのヴィンブレでした!
風邪ネタ風邪ネタv(`▽´v)
めちゃめちゃ不安に思ってるのに、完璧なほど優しいヴィンセント様に萌え♪です!!!
ブレイク風邪ネタって、意外に少ないですよね。
弱ブレ大好きな管理人としては、少し悲しいです・・・
というわけで、来年は風邪ネタ書きまくろうと思います!
それでは、多分今年最後のSSでした!
ここまで読んでくださってありがとうございました!
そして半年間、お世話になりました!
本当に感謝の気持ちでいっぱいです!
来年はもっと頑張りたいと思うので、どうぞこれからもよろしくお願いします!!
2009.12.30 ナオ

11.1/10 移動・修正完了







人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -