レインズワース家の屋敷のひとつ。
レイムは、いても立ってもいられない気持ちでシャロンを待っていた。
今日の午後。
いつもどおり仕事をしていたレイムのもとに彼の友人、ザークシーズ=ブレイクが怪我をしたという知らせがあった。
チェインとの戦いで負ってしまったらしい。
大した怪我ではないということだが、まだ目覚めないと聞き、急いで仕事を終わらせて駆けつけたところだった。
ようやく彼の主、シャロン=レインズワースが部屋に入ってきた。
「シャロン様、ザークシーズは…」
シャロンは、挨拶もそこそこに友人のことを訪ねたレイムに微笑を浮かべ、言った。
「大丈夫ですわ…さっき、目を覚ましました…今はまた、眠っています」
シャロンは本当に嬉しそうに言う。
レイムはその言葉を聞いて安堵した。
「では、こちらですわ」
シャロンに案内され、レイムは屋敷を歩いた。
「ここです」
案内された部屋に入る。
窓際にベッドが置かれ、横たわるブレイクの姿が見えた。
大きめの服の袖からちらりと覗く包帯が痛々しかった。
それでも、彼が生きていることに。
レイムは心から安心した。
本当に、知らせを聞いて目覚めないことを聞いた時はぞっとした。
「…よかった」
無意識に、声を出していた。
「本当…」
シャロンがぽつりともらした。
「本当に…っ、生きててくれてよかったです…」
シャロンは、嗚咽交じりに言葉を紡ぐ。
「シャロン様…」
「私、本当はもうザクス兄さんにはこんな危険なことしてほしくないんです…今回だって、こんな怪我をして…」
シャロンは泣きながら言葉を続ける。
レイムは、そんなシャロンの肩に黙って手を置いた。
『おまえ、あんまり心配かけさすな。シャロン様が心配なさっていたぞ。…もちろん私もな。早く怪我を治せ。完治するまでちゃんと寝ていろよ!だいたい、おまえは無理をしすぎなんだ…待ってるこっちの身にもなってみろ!…とにかく、ちゃんと休めよ。分かったな?』
「分かりましたヨー」
ブレイクは、レイムの残した書き置きに、
クスリと笑みをこぼした。
そして、横になる。
「早く治さないと、レイムさんが心配しちゃいますからネー」
本音