feel oppressed by the heat | ナノ
「あ〜まじ死ね。」
恋人が浮気をしている。しかも俺の友達と。もちろん男だ。こんな身近にホモが三人も集結している事になるけどちょっときもくないか。
それはさておき、どうして浮気だと思ったのかというとここ一週間のアイツらの態度でだ。恋人である俺を放って置いて朝から放課後までベッタリと共にしている。最初のうちは三人で行動していたのだが、あまりに俺をお構いなしに二人の世界を作るものだから、次第に俺から一抜けした。
一週間前までは、俺と恋人の正樹は親友のユキノリに馬鹿にされるくらいにはラブラブだったはずだ。告白してきたのは向こうからで、正樹は俺にだいぶ惚れている事が見て分かったし、俺も上手く言葉や態度には出せなかったけれど、同じ気持ちでいるとそれなりに伝わっていると思っていた。そしてメールや電話はもともとそんなにする方でもなかったが、今では俺が無視しているのであちらから一方的におはようとお休みのメールが来るだけだ。学校では俺の事なんて気にしちゃいないのにこれだけは欠かさないのが逆にムカついた。



「ほんと死ね。」
「おーいおい、何を物騒な事言ってんだ。しかもひとり言で。」
本日も朝からのけ者にされて、機嫌がすこぶる悪い中放課後を迎えた。二人仲良く帰って行く姿を見送っても誰もいない教室から動く事が出来ずに伏せていると、何時の間にか同じクラスの菊池が立っていた。
「…っおお、部活は?」
「忘れ物したから取りに来た。すぐ戻るよ。」
そこまで目立つ方ではない俺はスポーツマンで明るい菊池とは数える程度しか会話をしたことがなかったが、さすが人気者だけあって人に警戒心を与えずにすっと入ってくるので変に緊張を持たずに話す事が出来る。確かにユニフォームのままで汗をかいている菊池は夏であるのに爽やかな気がするのは何故だろう。イケメンって得だなと思った。
正樹も整った顔立ちではあるが、ちょっとチャラついた雰囲気と馬鹿な頭で台無しにしている気がするがモテることには変わりない。俺とユキノリはどっちかというと地味で、特別女の子に好かれた事がなかった。お互い趣味とかも合うしクラスも二年間一緒なので意気投合するのはあっという間だったし、それなりに深い仲になっているはずだと思っていたがそれは俺だけだったのだろうか。
二人の異様な雰囲気を追求したいけど一気に恋人と友達を失う事になりそうで言えないでいる。

「上野、帰らないのか?」
また自分の世界に入り込んでぼうっとしていると、今だに教室から出ていない菊池が顔を覗き込んできていた。
「っ、びっくりした。」
「はは、ごめん。」
「いや、帰っても暇だしもうちょっといようかな」
「ふーん、じゃあ俺もまだここにいる。」
そう言って、俺の前の席のイスを引いて向き合うように座った。
「いいのかよ?部活は。」
「うん、大丈夫じゃん?」
菊池がいいっていうならいいけど、俺としてはまだしばらくは一人で居たい気分だったのに。
それから五分程お互い無言のままだったがそれを破ったのは菊池だった。

「そういえばさ、最近あいつらといないよな」
「あ、ああ、うん。」
名前を出さなくても二人の事だって分かる。それほど常に一緒だったんだ。
「なんで?」
じっと、射抜くように見つめてくる瞳に戸惑った。適当に返したらいいのに上手く言葉が出ない。もともと、正樹と俺が一緒にいるのを周りは不思議に思っているのを知っていたので最近の俺達の様子には菊池も興味があるのだろうか。う、あ、と言葉にならない声を出していると、菊池はふっと笑った。
「うえのってかわいそうだ」
「え…?」
「うん?可哀想だなって」
「は?なんで?」
意味が分からなくて今度は俺がじっと見つめる番だった。

「上野のソバカス、いいよな」
急に話を変えられた。ますます訳が分からなくてそのままじっと見つめているとゆっくりと微笑んだままの菊池の手が俺の顔に伸びていく。そして、そっと手の平で顔を包んで親指で頬に散らばったシミを撫でた。
それからまたお互い黙ったまま時間は過ぎた。外では部活をやってる奴らだっているはずなのにそれさえ聞こえないくらいまるで俺たちだけの世界みたいに静かだった。

「俺なら、…上野が俺のものなら、ずーっと一緒に居てやるのに」
「菊池…」
「ソバカスの数なんて知ってるくらい近くに居てずっと、そばに居て離れないのに」
「な、なに」
「二人は同じくらい地味だってみんなは言うけど、上野とあいつじゃ全然違うよ。」
「っ、」
「俺のものなら、俺のものになるなら、」
何時の間にか菊池から笑みは消えていて、それでいて少し顔が強張って見えた。俺はいつまでたっても動けない。簡単に振り払えるくらい優しく触れられているのに俺はそうしなかった。だから、ゆっくりと顔が近付いてきたって目線を逸らす事だってしなかった。





「はっあ、っ、きく、ち、っん、」
「上野、もう三本も入ってるぞ。あんなにキツかったのに、すごいな」
「うっあ、うそっ、はっ、」

あれから、俺は汚い教室の床で汗だくになりながら菊池の長く綺麗な指をアナルに受け入れていた。
しこりの部分を三本の指でさすられると腰が堪らず震えるのが分かる。
「あー、もうちょっと広げてあげたいけど俺限界、」
「う、んっあっああっ、はっ、」
「いれちゃうぞ」
最後に数回突くと、ちゅぽっと指を抜いた。
それから熱く張りつめた菊池のチンポが押し当てられている感覚にぞわっと鳥肌がたつ。興奮して息は上がっているのに、頭は妙に冷静な気がした。俺は親しいとも言えないただのクラスメートと何をしているんだろう。恋人だっているのに。これじゃあ正樹の事責められたもんじゃない。だけど、俺はただ寂しくて思っていたより傷ついていて、だから菊池の言葉に簡単に耳を向けてそしてずっと聞いていたかった。嘘でもなんでも俺を求める声に寄り添って、何も考えたくないと思った。

「はっ、処女だよなっ、まだしてなかったんだ、っはっあっはいる、よっ」
「うっ、あっくるし、あっあっはいってる、あっいっ、あ」
「、きっつ、上野、上野の処女貰ったよ、俺がっ、はあ、」
菊池の巨大なチンポが指なんかと比べ物にならないくらいギチギチに埋まっている。
痛くて苦しいのに、同時にさっきのしこりのとこをチンポが圧迫していてじわじわと快感が広がっていく。菊池はゆっくりと腰を前後させてなじませていった。

「ああっ、きくちぃ、うっは、はっはっ、あっいっあんっ、」
「はあ〜、気持ちいい、すげえよっ、」
「あっ、おれもっ、きもちっ」
「ほんと?じゃあ、もう少し早く動いていい?っ、」
俺の返事を待たずに身体を隙間なく密着させたまま、激しく俺のアナルを突きまくってきた。
パヂュンッ、パンパンッパチュッブチュッブチュッ
「うあっ、あっあっあ〜っはやっはやっい、あっ菊池、やめ、あっ」
「はっはっあっ、上野、上野、」
「う〜っ、んんっ、ふぐっ、んっんっ、ん〜っ」
そのまま口を塞がれて食べられるんじゃないかってくらいの激しいキスをされる。背中が床に擦れて痛かったし、埃が舞って最悪だったけどそんなの気にならないくらいお互い夢中になった。

「ふっはっ、ん、上野、上野の処女俺が貰った、しっ、はっ、俺のもんだよなっ、」
「あっあっ、やっ、なっなにっ、あっ、んっいあっ、」
「あいつらだって、上野の事、放って今頃よろしくやってるよっ、」
「ああっ、やだっやだっ、ああっんっ、ひどいい、っ」
「はっ、なにいってんの、上野だって、ひどいよっ、恋人より先に俺とヤってだからさっ、」
イヤイヤ横に首を降るけど、ますます興奮したように俺の足を肩にかけて所謂マングリ返しのようにして上から下に突いてくる。
「あーっあーっやっだめっ、それっあっあっ、すごいぃっふかっこわいっこわっいっあっああっ、」
「はっはっ、あーっ、上野のケツマン最高だよっ、初めてなのに、こんな絡みついてきてっ、もう上野は俺のチンポじゃなきゃだめだよっ、」
「あっあーっやーっんんっぐあっあっあはっうーっ」
二人ともここが教室って事なんて頭からすっかり抜けたように声をあげてお互いの汗でグチャグチャになった。
ポタポタと顔に落ちてく菊池の汗を舌で舐めとると、代わりに、と俺のソバカスを、腰の動きとは逆に丁寧に菊池の舌が動き回る。そこが性感帯にでもなったかのようにキュッとアナルを締め付けてしまう。
「アンッ、はっはあっはあっ、菊池っ、菊池っ」
「さっき言ったこと、覚えてるっ?上野のが、っ、んっ、俺のものなら、はっ、」
「はっ、っ、ならっなにっあっああっ」
「そうなるならっ、俺も、はっ、俺も上野のものだ、上野だけの俺になる、」
その言葉を耳にした瞬間全ての器官がきゅうっと縮まって、心臓だって縮まって、もう堪らなくなった。こんな何もない自分だけのものに。余所見なんてしないで、地味で取り柄のない自分だけに向けられる思いが手に入るんだと思うともうなんだってよかった。今はそれだけしか考えられない。全てを捨てて菊池に俺を捧げたい。そして菊池も俺だけのものになればいい。
この茹だる暑さに、とっくに思考回路がやられていることはわかっていた。
俺には正樹だけなのに、そんなことさえ忘れてしまうくらいだった。

「はっあっあっ、なるっ、菊池のものにっ、なるからぁっ、ああっ!」
「はっはっはっ、うっ、んっ、ほんとだなっ、上野は俺のものだなっ、やっぱりなしとか、あり得ないからっ、」
「うんっ、うんっ、だからっ、あっあっ菊池もぉっ」
「上野のものだよっ、ずーっと俺がそばにいてあげるからっ、絶対離れないから、」
もう一つ一つの言葉が麻薬みたいにグルグルと身体の中を駆け巡って染み渡っていって、たぶん簡単には抜けそうにないと思った。嬉しいのに涙も止まらなくて、菊池がどんな顔しているかもわからなかった。

「あっあっもっだめぇっ、きくぢぃっああっ、いっちゃ、いっちゃうよっ、あっ」
「ふっはっはっンッ、いいよっ、いって、俺も出すよ、っ上野の中に出すから、はっ、好きだよっ上野、んっ、上野はっ、?」
「ああっんっ、俺もぉ、俺も菊池すきっすきっ、ずっと一緒にいてぇっ、」

そう叫ぶと同時に教室のドアが勢いよく開いた。

「なにやってんだよっ!!?」

扉に視線を移すとそこには酷い形相の正樹が立っていた。多分怒りで震えている。拳をぎりっと握った。
さすがの事態に俺も正気になって菊池から離れようとするが萎えることのないそれを嵌めたまま俺と一緒に身体を持ち上げた。
「ああっ、ばっ、菊池っぬけっぬけって」
「どうして?なんで抜くんだ?」
「なんでって、あっ、見てるっ、正樹っ正樹がっ、」
「関係ないだろ。もう上野は俺のものなんだし。見せ付けてやればいい。」
この状況で至極真面目な顔でそう言う菊池を始めて恐ろしいと思った。
「大丈夫、馬鹿なアイツが今頃自分のした事に後悔したって遅いんだから。例えそれが上野の気持ちを試す偽りのものだったとしても、悲しませて離れてしまったら元も子もないんだ。だろ?」

もう菊池が何を言ってるのかわからなかったし理解したくなかったけど、俺は多分取り返しのつかない事をしていてもう後戻り出来ないのだと思った。
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